HHKBが長く使い続けられるワケがここに。10年以上愛用しているヘビーユーザーの想い

HHKBが長く使い続けられるワケがここに。10年以上愛用しているヘビーユーザーの想い

2021年12月16日公開

アーロンチェアでHHKBを使用する筆者

HHKBユーザーの特徴の一つに「長期にわたって使い続けている」という点が挙げられます。筆者自身も10年以上愛用していて、使い込むほどに体に馴染んでくるということを実感しています。今回は、使い続けるうちに生活と切り離せないほど大切なツールになっていくHHKBの魅力についてお話ししたいと思います。

10年前に出会った、頼りになる相棒

筆者は20年以上前からライターとして活動をしており、日々、膨大な量の文章をタイピングしています。ここ3年間、アプリで計測したところ、1日の平均タイピング数は約2万8,000回です。ライターデビューしてから最初の10年はいろいろなキーボードを使っていました。半年くらいで壊れてしまい、頻繁に買い換えていたためです。

2011年6月、「HHKB Professional Type-S」に出会いました。そこから10年を超え、まだそのキーボードでこの原稿を書いています。その間、HHKBは何度も新モデルが発売され、そのたびにフラッグシップモデルを入手しているのですが、そちらはモバイルでの活用が中心になっています。事務所のメインマシンのキーボードは相変わらず「HHKB Professional Type-S」なのです。

コンパクトキーボードなのに当たり前にキーピッチはフルサイズのままという凝縮感に加え、5列配列というミニマム感がガジェット好きの筆者には刺さりました。

実は打鍵感は「Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S」の方がシルキーで好みです。最新モデルと比べると、「HHKB Professional Type-S」は少し固く感じます。そのうえ先日、ここ数年の目標である、節目の1億タイピングを達成しました。その区切りで旧モデルには引退してもらおうと思いましたが、やはり乗り換えは気が進みません。このHHKBを気に入っているのです。

執筆の相棒として活躍しているHHKB

10年以上、執筆の相棒として活躍している「HHKB Professional Type-S」


新しいもの好きの筆者ですが、何にこだわっているのだろう? と自問してみました。見回すと、同じようなものが身近にあと二つありました。

デザインのこだわりと高度な機能 ~アーロンチェア~

一つは20年近く前に購入したアーロンチェアです。デザイナーのビル・スタンフとドン・チャドウィックがデザインした高機能チェアで、1994年にハーマンミラー社が発売しました。駆け出しのライターとしては月収の半分を超える高い買い物です。しかし、安い椅子で長時間仕事をすることで腰と肩を痛めてしまい、体をサポートしてくれる高機能椅子を探したのです。

筆者が長年愛用しているアーロンチェア

20年近く使っているアーロンチェア。100kgを超えた筆者でも問題なく受け止めてくれる

アーロンチェアの実物を見て、一目惚れしました。黒い独特のデザインで、高度な機能が洗練された印象を与えています。約30年前にデザインされたのにもかかわらず、人間工学に基づいており、幅広い体型に対応できる画期的な設計でした。この椅子は、MoMA(ニューヨーク近代美術館)の永久収蔵品にもなっています。今でも一目で、アーロンチェアだとわかるデザイン性は流石です。

体圧分散による疲れにくい構造や背骨をサポートするポスチャーフィット、自然なバランスでリクライニングできる構造など、充実の機能を搭載しています。快適にいろいろなポジションが取れ、腰の痛みからは解放されました。

実際に、椅子の高さなどを調節して楽しんだのは最初の1週間くらいです。すぐに存在を意識することなく、そこにあるだけの椅子となりました。そこから20年間、筆者の体を支え続けてくれています。当時、筆者の体重は60kgもないくらいだったのですが、2020年に115kgと約2倍になっています。それでもアーロンチェアはびくともせず、一度も故障していません。

筆者はコロナ禍のリモートワークに関する仕事を多く手がけ、椅子に関する取材もします。最新の高機能オフィスチェアはとても食指が動いたのですが、それでも買い換えまではいきません。

どっしりと当たり前のようにあり続ける。一切トラブルを起こさず、道具としてパフォーマンスを出し続ける。アーロンチェアはなんと12年保証ですが、その自信の表れなのでしょう。

高級感があって安心して使い続けられる ~LAMY 2000~

もう一つが、ボールペンです。独ラミー社のボールペンを好んで使っているのですが、中でも長く使っているのが「LAMY 2000」。ゲルト・アルフレッド・ミュラー氏がデザインするステンレス無垢材のクリップを備える柔らかい形状のボディは洗練されています。名前がちょっと野暮ったいですか? それもそのはず、発売されたのは1966年。筆者が生まれるずっと前なのです。

コンセプトは「西暦2000年でも通用するデザイン」。有言実行ですね。2021年の今でも販売されています。

筆者が長年愛用しているボールペン

樹脂のボディはヘアライン加工。ステンレスパーツがしっとりとしたエレガントさをまとわせている

4色ボールペンですが、色を切り替えるスイッチが見当たりません。ボディ上部に刻まれるカラーチップを上にしてノックすると、その色の芯が出てくるのです。もちろん、書き味は滑らかで、しっかりとしています。

長く使い続けられるワケ ~HHKBとの共通点を探る~

長く使い続けられるものには理由がありました。一目でそれとわかるデザイン性。ずっと使い続けられる安心感。そして、アイテムとしてその目的を果たすための高度な機能。これらが三位一体になることで、何十年も使い続けられ、愛着がわくのです。

HHKBもそうです。まずはデザイン。東京大学名誉教授の和田英一先生が「マイキーボードを作りたい」と思い、PFUと共同で開発しました。「Alephキーボード」と名付けた自作デザインが元になっており、キー配列はシンプルながら、使いやすさを極めたキーボードが生まれたのです。

HHKBの誕生から7年後に「HHKB Professional」をリリース。2011年に打鍵音が小さな、「HHKB Professional Type-S」が発売されました。2019年には、HHKBが「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞しています。長年にわたり、社会の中に浸透し、時代を超えてスタンダードであり続けるデザインを称える賞です。さもありなん、というところです。

ミニマムなデザインにも惹かれました。エンジニアの方々は英語配列を好んでいたようですが、筆者はライターなので日本語配列を選びました。確かに、スペースキーの長い英語配列も格好いいのですが、日本語配列も負けてはいません。カーソルキーや変換キーが増えているのに、全く同じボディサイズにきっちり納めました。もちろん、使い勝手に妥協はありません。

次はタフネス。デジタルデバイスで5年以上使える製品はまれです。HHKBをつないできたPCは6~7回代替わりしていますし、筆者のオフィスも3回引っ越しています。マウスにもこだわっていますが、それでも2~3年に1度は交換します。唯一、HHKBのみがその変遷を経ても、同じ「HHKB Professional Type-S」が現役で活躍してくれています。

デバイスとしての頑丈さもそうですが、キートップのプリントも流石です。一番押す回数が多いのは「A」キーで、この10年間で840万回タイピングしていますが、文字かすれさえありません。一般的な製品では文字はすべて消えているところです。

もちろん、機能に関しても折り紙付です。キーのスイッチング方式に「静電容量無接点方式」を採用しています。これがキータッチの上質さと、比類のないタフネスの理由です。押下圧は45gで、こちらも筆者の好みにぴったりです。静音タイプというだけあり、従来のHHKBよりも随分静かになっていました。

普段は10年前のモデルを使っていますが、最新のHHKBは目を見張る進化を遂げています。Bluetooth接続とUSB Type-C接続に両対応し、最大4台までのデバイスを登録して切り替えて利用できるのです。出張などに持って行きますが、とても完成度が高く、素晴らしいアイテムに仕上がっていて感動します。

HHKBに触れてみたいなら原価BARへどうぞ!

筆者が経営する原価BARにはHHKBが展示されており、お客さまが飲みながら触っていただけるようになっています。BARになんでHHKBがずらりと並んでいるのか?と不思議に思われることはありますが、雰囲気には馴染んでいます。デジタルガジェットというよりは、何かもっと普遍的な道具のような印象を与えてくれているからでしょう。

お店に展示されているHHKB

筆者が経営する原価BARに展示されているHHKB

生活と切り離せない大切なツール。これからも使い続けていく

和田英一先生の言葉を初めて聞いたときにあまりに的を射ていて驚いたことを覚えています。

「アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない」

筆者も「HHKB Professional Type-S」を可能な限り使い続けていこうと思います。

[プロフィール]


執筆者
柳谷 智宣

IT・ビジネス関連のライター。Windows 98が登場した頃からPCやネット、ガジェットの記事を書き始め、現在は主にビジネスシーンで活用されるSaaSの最先端を追いかけている。飲食店や酒販店も経営しており、経営者目線でITやDXを解説、紹介する。