「挑戦するエンジニアのプラットフォーム」はHHKBで作られている?ファインディのエンジニアを支える仕事環境とは
ITエンジニアの採用・育成・開発生産性の向上を支援するファインディ株式会社様。2016年の創業以来、「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」というビジョンを掲げ、驚異的なスピードで成長を続けています。
今回は、そんな同社を支える4人のエンジニアにインタビューを実施しました。VPoE、SRE、AI推進、バックエンドと、異なる領域で活躍する皆さんが、ファインディについてどのように感じているのか、どのような働き方をしているのか、そしてなぜ「身体の一部」としてHHKBを選び、どのようなこだわりを持ってプロダクトに向き合っているのか、などについてお聞きしていきます。
グローバル展開のAI活用エンジニアプラットフォームを提供するファインディ
ファインディは、「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」をビジョンに掲げ、ITエンジニアと企業をマッチングさせるエンジニア転職サイト「Findy」、フリーランス向け「Findy Freelance」の他、チームの開発生産性を可視化するAI戦略支援SaaS「Findy Team+」等、ITエンジニア領域の課題解決のためのプロダクトを展開するとともに、国内最大級のTECHカンファレンスを運営するなどメディア事業にも力を入れています。
とはいえ、驚異的なのはその成長スピードです。2016年に創業し、2017年に1人目の社員が入社してからわずか数年で約500人の社員を抱えるまでになりました。(2026年1月時点)
また、「前向き・誠実・チームワーク・スピード・No.1」というバリューを掲げた独自文化が根付いているのも特徴的です。
ファインディのエンジニアに突撃!“ぼくらの仕事環境とこだわり”
―― まずは皆さんの自己紹介をかねて、普段どのような業務に携わっているか、またファインディのカルチャーについて教えてください。
神谷健さん(以下、神谷さん) VPoE(Vice President of Engineering。エンジニアチーム全体のマネジメント最高責任者。採用や育成なども担当する)として主に採用に責任を持っており、昨年度は年間680名ほどの面談・面接を実施しました。
ファインディでは、「前向き」というバリューを掲げていることもあり、何事にも前向きな文化があります。たとえば、一般的に「クソコード」と表現しがちなものを「伸びしろのあるコード」と呼ぶといったようなイメージです。また、エンジニアを蔑ろにしない文化があり、今後もエンジニアにまつわる、エンジニアに必要とされるプラットフォームを数多く作っていこうとしている企業だといえます。
安達涼さん(以下、安達さん) CTO室のPlatform開発チームでサブマネージャー兼SRE(Site Reliability Engineering。サイトやシステムの信頼性と運用効率を自動化などにより両立できるようにする部門)として、サービスの信頼性向上と開発チームの生産性向上をミッションに活動しています。具体的には、オブザーバビリティの整備、インフラやCI/CDの標準化、セキュリティ・コンプライアンスの推進を行っています。
最近は、新サービスが非常に増えてきていることもあり、メンバーたちから依頼されて、誰でもインフラ構築できるような自動化システムを作るなどして「開発チームが安心して速く開発できる状態」にしています。
戸田千隼さん(以下、戸田さん) CTO室のAI推進チームで、テックリードマネージャーを務めています。テックリードとしてプロダクト開発を牽引しつつ、自社サービス(Findy AI+)の開発や、開発組織全体のAI活用の推進、エンジニアマネージャーとしてメンバーのマネジメントなども行っています。
弊社の特徴としては、開発生産性に対する意識の高さがあると考えています。開発生産性の可視化をする「Findy Team+」を開発していますので、会社の開発スピードが速くなければ説得力がなくなります。そのこともあり、開発の基本的な部分をやり切る意識が高いという文化が醸成されています。
森裕介さん(以下、森さん) キャリアプロダクト開発部で「Findy」のバックエンド・インフラを担当しています。エンドユーザーが自分たちと同じエンジニアなので、「自分が欲しいものを作れる」という環境にやりがいを感じています。
―― 今日はお集まりいただきましたが、皆さんは普段、出社されているんですか?出社の割合や、仕事をする上での「こだわり」についてもお聞きしたいです。
神谷さん 私は週5日で出社しています。対面だからこそ起きる突発的なコミュニケーションから生まれるアイディアを大切にしているからです。また、生産性を高めるために、キーボードは無刻印モデルを使うことにこだわっています。入力を最速化することが、パフォーマンスを最大化させる鍵だと考えているためです。
安達さん 基本はフルリモートですが、週2回程度は出社するハイブリッドな働き方です。こだわりは「エンジニアが集中できる作業環境」ですね。ガジェットが好きということもあり、環境を整えるためには投資を惜しみません。
―― そうなんですね!1番高かったものを教えていただけますか。
安達さん ワイドタイプの4Kディスプレイが最も高くて20万円ぐらいしましたね。あとはCOFOの椅子が10万円ぐらい、それから昇降デスクやトラックボールなどの物理的なものから、開発ツールや自動化の仕組み等も含め、作業環境に気を配っています。
神谷さん 私も椅子にはこだわっているんですよ。アーロンチェアに謎の「ゲーミングエディション」というのがあって、結構高い。
戸田さん そんなのがあるんですね、光るとか?
神谷さん 色が違うだけですね~。基本はグレーなんですけど、ゲーミングエディションは真っ黒という。元々ゲーム開発していたこともあって、「ゲーミング」って言葉にひかれちゃうんですよ。
安達さん (サイトを検索して)僕のモニターより高いじゃないですか(笑)
―― 驚きました(笑)。では続けていきますね。戸田さんはいかがですか。
戸田さん 私は福岡に住んでいることもあり、フルリモートで働いています。ただ、2~3カ月に1度、3日くらい出社することもあるので、どこでも同じように作業できるようにすることにこだわっています。そのため、オフィスに来るときも自宅で使っているHHKBを必ず持参しますし、ツールやコンソールの設定もあえて変更せず、「デフォルト設定」で使うようにしています。
デフォルトの設定って、先人たちの知恵が詰まっていると思うんです。こだわりが強すぎて自分の設定にしてしまうと、PCを変えたとき、他人のPCを使わなくちゃいけないときに「うわぁ、これはなんだっけ?」となってしまうので、デフォルトのままにしておく、というところにはこだわっていますね。
神谷さん そうそう、ベテランの人ほどそうだよね。デフォルトならどんな環境でも対応できるしね。カスタマイズすると、それに依存してしまい、自分の開発環境以外で仕事にならなくなることもあるし。
ちなみに、過去仕事したデータセンターではUS配列のキーボードなのにサーバーはなぜか日本語配列で入力しなくちゃいけない環境もあったから、無刻印の特殊な訓練を受けている私は頭を切り替えてちゃんと入力できるんですよ(笑)。
森さん うん、分かるけどいやだ(笑)
戸田さん えー、森さんは絶対こっち(デフォルト)側だと思ってました。
森さん 出社とリモートは半々です。安達さんが話していたように、対面で話したほうが効率が良いと思うからなんですよね。とはいえ、エンジニアの多くが北海道から福岡などあちこちからフルリモートで仕事をしているので、なかなか対面というわけにはいかず、チャットだけでなく、Web通話も駆使してコミュニケーションを図っています。
仕事をする上でのこだわりは、「キーボードからなるべく手を離さないこと」ですね。ショートカットを駆使して、キーボードだけで全ての操作を完結できるようにしています。また、戸田さんと違い、自分に合わせたいという願望があるので、キーマップもキートップもカスタマイズして、デフォルトではない状態にしておく、というのもこだわりの1つですね。
―― この黄色いクマのキャラクターがカスタマイズした結果、ということですね。
森さん これ、僕の使っているアバターを示しているんですよ。この画像ですね。
戸田さん ああ、そういうことかぁ~。
“馬の鞍”として一生付き合えるHHKBのはずが!?
―― 皆さんがお使いのHHKBの機種名と、HHKBに出会ったきっかけ、購入の動機について教えていただけますか。
神谷さん 今使っているのは「HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/無刻印墨モデル」ですね。10年ほど働いていた1社目の上司が、真っ白な無刻印モデルを使っていたんですよね。その上司という人が、本当に優秀なプログラマーでして。ちょっと作業させてもらおうと、そのHHKBを使わせてもらったんですけど、これが全く打てない。悔しかったですね。
で、そのことから「優秀な人は無刻印でなければいけない」という刷り込みができてしまったんですよ(笑)。これが原体験にありますね。その後、転職を機に自分もプロを目指す覚悟で無刻印を購入しました。
安達さん 通っていた大学が情報系で、「クラウド研究システム」というところに所属していました。今でも関係の続いているそこにいた友人がTwitterのプレゼント企画でHHKBを当てたのを見せてもらったのがきっかけですね。「何だ、この良いキーボードは!」と。
その打鍵感に惚れ込み、大学時代にお金をためて最初に買ったのがHHKB Professionalでした。それを10年以上使い続けていますが、なんだかんだでシリーズはすべて購入しています。
―― えっ、それはすごいですね。
安達さん 4台のうち、今日は2台持ってきたんですが、自宅では「HHKB Studio 英語配列/墨モデル」、会社では「HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/墨モデル」、初期の頃は「HHKB Professional Classic」を使っていました。
戸田さん 僕は「HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/墨モデル」を愛用しています。
コロナ禍になる前は福岡でオフィスに出社する働き方をしていたんですよね。でもコロナ禍でリモートワークになり、外付けキーボードが必要になった。HHKBのことは知っていましたが、「値段が高い」「(指が短いからUS配列にしたいけど)US配列はカーソルキーがない」という理由で躊躇していました。
それで、1万円ぐらいの外付けキーボードを3~4台買ってみたんですけど、どれも合わなくて、「最後の手段だ!ダメならフリマアプリで売ればいい」という覚悟で購入したのが、購入のきっかけでした。
森さん 2006年頃、同僚が「HHKB Lite2」を使っているのを見て見た目に惚れました。最初に買ったのはそのLite2モデルで、その会社を辞めるときに後輩に渡し、次の会社でHHKB Professional Classicを購入して、そこを辞めるときにまた渡して、そして現在の「HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/墨モデル」に至る、という感じです。
―― 実際にHHKBを使ってみた感想や、気に入っているポイントを教えてください。
神谷さん 実は、今日持ってきているのが2代目なんですよ。以前のものは自分の不注意でポートのところでUSB端子を折ってしまって、Type-Sに買い替えました。
そうしたら、圧倒的に静音になったおかげで、周りからクレームが入らなくなりましたね。MacBookのキーボードを壊してしまうぐらい押下圧が強いので、かなりうるさかったらしいです(笑)。
またあこがれの無刻印モデルを使っているので優越感に浸れてテンションが上がり、生産性が上がっています。自己満足の世界かもしれませんが、「使いこなしてこそのプログラマーだ!」と、モチベーションが上がります。
安達さん 最近は、HHKB以外のキーボードも触ってみよう、ということで中国の「NuPhy(ニューフィー)」というところのキーボードを3カ月ほど使ってみたんですけど、結局HHKBに戻りましたね。
この60%キーボードというサイズ感が最高で、長年の使用でFnキーとの組み合わせによるカーソル移動が身体に染み付いてしまい、戻れません(笑)。MacBook本体のキーボードでも同じように操作したくなるほどです。
キーピッチ、打鍵感が自分にとってぴったりだと感じています。そのためか、長時間作業していても疲れにくい。シンプルでムダのないデザインもデスク環境に馴染みやすく、仕事道具として非常に満足しています。
―― ありがとうございます。戸田さん、カーソルキーがないことからHHKBの英語配列の購入をためらっていたとのことでしたが、使ってみてどうでしたか。慣れましたか。
戸田さん 実は30分で慣れました(笑)。これ、本当によくできていて、Fnキーの配置が絶妙なんですよね。タイポも明らかに減りました。「買わない理由が値段なら買え」という格言は本当だったなぁと実感しています。
―― 1万円ほどのキーボード4台分のお金で買えましたしね。
戸田さん 最初に買えば良かったと思いましたよ。フリマアプリに流すどころか、それをずっと大切に使っていて、3、4カ月に一回はキートップを外して洗浄しつつ、きれいに使っています。
安達さん 僕なんか風で飛ばしているだけですよ(笑)。でも今度やってみようかな。
戸田さん 「HHKB年末大掃除」とか記事化してくださいよ(笑)。
―― 森さんはいかがですか。
森さん 今使っているのは、ケーブルから解放されたBluetooth接続だし、Type-Sで静音だし、最高だなぁという感じです。
カスタマイズ大好きな自分にとって、キー配置を自分好みにカスタマイズできる点も魅力ですよね。僕はあまり手を動かさなくても良いように、「Fn」+「H」「J」「K」「L」に矢印キーを割り当てています。
後はご覧のように、キートップでカスタマイズしていますね。「蒲公英」カラーかわいいなぁ、「山葵」と「藤」もかわいいなぁと思っていて、気づいたら全部買っちゃっていました(笑)。
―― HHKBにまつわる印象的なエピソードはありますか。
神谷さん 無刻印モデルなので、他の人が自分の環境で作業しようとしても「できねぇ!」って匙を投げられてしまうことですかね(笑)。自分がかつての上司のキーボードを触ったときに無刻印だから入力できなかった、という経験を他の人にもさせている感じです。
戸田さん 印象的だったのは、娘が小さかった頃のエピソードですね。HHKB以外のキーボードとHHKBを叩いて遊んでいたときに、「なんかこっちの方がいい!」と、HHKBの打鍵感を気に入ってたみたいで。いやぁ、キーボードを触ったことのない子どもでも違いが分かるんだなぁと思いましたね。
安達さん 僕はHHKBを布教しまくって、みんなに買わせまくっているという感じですかね。それから、この配列に慣れてしまっていて、MacBookのキーボードを打てなくなってしまっています。HHKB以外だと、めちゃくちゃCapsLockキーを押してしまって作業効率が下がりますね。
森さん エピソードになるのかわかりませんけど、不思議な話で、HHKBっていつの間にか増えているんですよね。和田先生が「カウボーイは馬が死んでも鞍を背負って行く」と、HHKBは1台で一生の相棒になるということをおっしゃっていましたけど、なんでなんですかねぇ、増えていくんです(笑)。
―― 大丈夫です。キーボードはキーボードを産みますので(笑)。
ところで、オススメのガジェットを選ぶときに基準にしていることなどがあれば教えていただけますか。
安達さん レビューを見るようにしていますね。YouTubeとか。あとは見た目がかっこいいか、使いやすいか、それから価格が適当であるか、ということを基準にしています。
神谷さん 僕は使ってみて「これは違うな」と思ったらすぐに売ってしまうので、ゴールにたどり着くまで買っては売るというサイクルを延々と続けています。でも、これだと思ったらずっと使い続ける。キーボードについてはHHKBがゴールなので、なぜこれにたどり着いた人がキーボード沼にハマるのかよく分かりません(笑)。
森さん 他社製品なんですが、Nape Proが気になって「これ買えば、HHKB Studioいらないかも」と思い、出資しました。もちろん、組み合わせるのはHHKBです。だから、HHKBで、同じようなものを出してくれればいいなぁと思ってますね。
キーボードについての情報収集は、自作キーボードコミュニティのDiscordがあって、その中でウォッチしています。
戸田さん 僕の場合は、デファクトスタンダード、安心できるものというのを基準にしていますね。HHKBしかり、Apple製品しかり。
スマートフォンがiPhoneなので、合わせてiPadやHomePod miniを買ってます。HomePod miniは2つつなげるとステレオ再生できるので、自室で仕事中は、その環境で音楽を聞きながら仕事をしているという感じですね。
―― 最後の質問です。皆さんが今後挑戦してみたいことや、今、興味を持っているものについて教えてください。
神谷さん ガジェットに関しては特にこれといったものはないのですが、仕事の面では会社の知名度をさらに上げ、グロースさせていきたいと考えています。前職のZOZOでの経験も踏まえ、ファインディをZOZOや他の有名企業に負けないような、世界で通用するエンジニアプラットフォームへと成長させることが目標です。
安達さん 本業ではSREチームをさらに盛り上げたいと考えており、2026年はイベント登壇やブログ発信を精力的に行いたいです。個人では、運営しているYouTubeチャンネルの成長や、未経験エンジニアの育成コミュニティの規模拡大に挑戦します。HHKBに関しては、Classic Type-Sが気になるので購入したいなぁと考えていますが、それ以上に「HHKBの分割キーボード」が発売されることを切望しています。
戸田さん 「AIを使った開発ならファインディが一番すごい」と言われるまで、AI活用の強度を上げていきたいです。自社の技術レベルは非常に高いものの、まだ外部へのアピールが足りないと感じているため、テックブログでしっかり発信していきたいですね。
個人としては、分割キーボードや、HHKB Studioの機能を備えたProfessional HYBRID Type-Sのような、キーボードだけで作業が完結するデバイスに挑戦してみたいです。
森さん 引き続きファインディのサービスを来年も、再来年もより良くして、ユーザーの皆さんにハッピーに使っていただきたいなぁと考えています。
個人的な趣味としては、自作キーボードの設計に興味があるので、そろそろオリジナルキーボードを作りたいなぁと考えています。
戸田さん 「ファインディキーボード」とか「ファインディガジェット」とかやりましょうよ。
森さん 自分で設計して中国に発注しても、完成までに半年かかったので、キーボード作る人たちはすごいなぁと感じますよね。HHKBを超えられるのかな?というところは疑問ですが、やはり自分の道具として作りたいなぁという願望はあります。できれば東プレ軸(静電容量無接点方式)を採用したオリジナルキーボードを自分で設計してみたいところですね。
―― お忙しい中集まってくださりありがとうございました!
ファインディ流仕事を楽しむヒント
お話を伺う中で、皆さんがHHKBを単なる入力デバイスとしてではなく、「仕事へのスイッチを入れるもの」や「自己満足を満たしテンションを上げるスイッチ」と感じてくださっていることがよく分かりました。
挑戦するエンジニアを応援するファインディのメンバーもまた、自らの道具にこだわり、常に「伸びしろ」を楽しみつつ挑戦を続けているのだと感じられる取材となりました。
執筆者
渡辺まりか
通電するガジェットをこよなく愛するフリーランスライター。馬が好きで乗馬ライセンスを、海が好きで二級小型船舶操縦士免許を、昔からのあこがれで普通二輪免許を取得するなど多趣味。物欲を抑えつつ、編み物をライフワークとするなどアナログな一面もある。







