人類のアウトプットを増やす! ~ GMOペパボ株式会社のエンジニアの皆さんのこだわりとは? ~

「もっとおもしろくできる」を理念に、「ロリポップ! byGMOペパボ」、「カラーミーショップ byGMOペパボ」、「minne byGMOペパボ」、「SUZURI byGMOペパボ」などのインターネットサービスを提供するGMOペパボ株式会社さま(以下、GMOペパボ)。皆さんの中にも、「そうそう、初めてサイトを作ったのはロリポップだった」とか、「minneでハンドメイド作品を販売している」という方がいらっしゃるかもしれません。

GMOペパボは、ものづくり精神にあふれているだけでなく、キーボードを深く愛し、中には自作・設計まで行う「職人」たちが多数在籍しています。今回は部署の異なる高橋健一さま(@kenchan。カッコ内はXアカウント)、常松伸哉さま(@tnmt)、菅原大和さま、片平直輝さま(@yuchi_io)、長峰さま、中山志織さま(@shiori_peace)という個性豊かなメンバーにお集まりいただき、仕事へのこだわりとキーボード愛を語っていただきました。

今回のインタビューに応じてくださったGMOペパボの皆さん。左から中山さん、高橋さん、常松さん、長峰さん、片平さん、菅原さん

GMOペパボってどんな会社?「表現者」を支えるカルチャーとAI活用

「もっとおもしろくできる」を理念に掲げるGMOペパボ株式会社は、2003年にドメイン・レンタルサーバー「ロリポップ! byGMOペパボ」から始まり、ECサイト構築サービス「カラーミーショップ byGMOペパボ」、オリジナルグッズの作成・販売サービス「SUZURI byGMOペパボ」、ハンドメイドマーケット「minne byGMOペパボ」など、表現活動を支援するサービスを一貫して提供してきました。近年は「AIエージェントをもっとおもしろくできる」をタグラインに掲げ、AI活用サービスも積極的に展開しています。 同社の魅力は、大手グループの安心感とスタートアップのような機動力を併せ持つ独自のカルチャーにあります。「みんなと仲良くすること」「ファンを作ること」「アウトプットすること」の3つの価値観が根付いており、フラットな「あだ名文化」が部署を超えた密な連携を支えています。開発合宿「お産合宿」やプレゼン大会「P-1グランプリ」などの挑戦を称えるイベントが活発なほか、社外コミュニティへの参加や、自作キーボードのように趣味を全力で楽しむ自発的な活動を会社全体で応援する温かい風土が育まれています。

日々の仕事を楽しむための「私のこだわり」とリフレッシュ法

――皆さん、自己紹介として、名前とあだ名、そしてどのような業務を担当されているかを教えていただけますか。

常松伸哉さん(以下、つねさま):2009年入社で、技術部全体のエンジニアリングマネージメントをしています。あだ名は「つねさま」です。

常松伸哉さん
常松伸哉さん

高橋健一さん(以下、くんさん):執行役員VPoE(Vice President of Engineering)の高橋です。全社エンジニアのマネジメントが基本的な仕事ですが、今は会社全体のAI活用の推進を主に行っています。「くんさん」と呼ばれています。

菅原大和さん(以下、drumato):技術部 技術基盤グループ シニアエンジニアの「drumato」です。全社のプラットフォーム運用や設計、特にECサイト制作サービスの「カラーミーショップ byGMOペパボ」をメインに見ています。

菅原大和さん
菅原大和さん

片平直輝さん(以下、yuchi):2022年入社の片平です。「yuchi」というあだ名です。当初はECのプラットフォームやインフラ周りを見る技術部にいましたが、2025年1月にSUZURI・minne事業部で「SUZURI byGMOペパボ」のエンジニアに転属になりました。

長峰さん(以下、nagami):yuchiと同じSUZURI・minne事業部の事業開発チームでサブマネージャーをしている長峰と申します。あだ名は「nagami」です。「SUZURI byGMOペパボ」の開発機能や、工場と一緒にアイテムを追加していくというようなことをしています。

長峰さん
長峰さん

中山志織さん(以下、しおりん):EC事業部 CREチームでエンジニアをしている中山です。あだ名は下の名前から「しおりん」と呼ばれています。2020年に新卒入社してから、ずっと「カラーミーショップ byGMOペパボ」のWebアプリケーションエンジニアとして、CRE(Customer Reliability Engineering)の領域に携わっています。お問い合わせにおける技術的調査に加え、ショップオーナーさんの声や要望をキャッチアップしたサービス改善などを行っています。

――ありがとうございます。では、皆さんが仕事で高いモチベーションを保ち、成果を出し続けるためのこだわりを教えてください。

つねさま:ただのいちエンジニアに過ぎなかったのが、入社17年目になり、やりがいは引き続きありつつ責任範囲の広がりも感じています。今も変わらず心がけていることは、「ずっと同じことをしない」「停滞しない」を意識して、常に新しくて楽しい挑戦を見つけるよう意識することで、モチベーションを保っています。また、30代の頃はワーカーホリックだった頃がありますが、プライベートが充実していないと仕事も楽しめないので、今では公私のバランスを大切にしています。

くんさん:普段はあまり意識していないのですが、社外で出会った人が、「SUZURI byGMOペパボ」や「minne byGMOペパボ」を使ってくれているという話をよく耳にします。仕事と関係ないところでそのような話を聞くと、「使ってもらっているんだな」と思い、自分たちの仕事の良さを再認識しますね。

高橋健一さん
高橋健一さん

drumato:私の場合は、もともとソフトウェア技術の勉強が趣味で、それを仕事にしました。時折「技術が好きでこの仕事をしている」、「前提として好きがあったから仕事になっているんだ」という初心を忘れないように意識しています。また、「何かを得意になることは楽しい」という成功体験を忘れないように、技術に限らず様々なインプットをおこなうことで、仕事へのモチベーションにもつなげています。

yuchi:仕事のモチベーションを保つために、趣味を増やすようにしています。元々、自作キーボード設計や音楽など、仕事以外の趣味が多い方でしたが、それらを充実させたいと考えています。キーボードイベントの「天下一キーボードわいわい会」のスタッフや「キーボードマーケット トーキョー(キーケット)」運営の他、音楽ライブの映像演出に関わるなど、イベント関係にも積極的に携わっています。社外の多様な人と接していると、自社サービスをご自分が、あるいは家族のだれかが使ってくださっている、という話が出てきて、自社サービスの価値を再認識でき、仕事へのモチベーションに繋がっていますね。

片平直輝さん
片平直輝さん

nagami:仕事のモチベーションについてですが、 私は30代になってから意識的に自転車や登山を始めました。実は、元々インドア派で、土日も外出しない生活をしていたんですが、意識的に外に出る趣味を始めたところ、生活が朝型になり、よく眠れるようになり、おかげで仕事にも良い影響が出るようになりました。会社の自転車部でヤビツ峠をマウンテンバイクで登り、下りで死にそうになりながらも、みんなで疲れ果てたのは最高の思い出です。

しおりん:私の場合は、日常のふとした瞬間に自社で提供しているECサイト構築サービス「カラーミーショップ byGMOペパボ」が使われているのを見つけると嬉しくなります。いつも買い物しているお店のネットショップを開いたら、実は「カラーミーショップ byGMOペパボ」で作られていたり、自分が改善に関わった機能がそこで使われているのを見ると、「また頑張ろう!」とやりがいを感じます。

中山志織さん
中山志織さん

HHKBから自作まで!キーボードに注ぐ異常な愛情とこだわり

――ここからは、皆さんの「キーボード愛」を深掘りさせてください。愛用モデルと、HHKBを知ったきっかけは何でしょうか?

drumato:今愛用しているのは「HHKB Studio 英語配列 墨モデル」です。学生時代に「HHKB Professional HYBRID」を買ったのですが、複数人で作業する環境だと気にする人もいると考え、静音モデルの「HHKB Professional HYBRID Type-S」に買い替え、かなり長いあいだ利用していました。今は打鍵感が良すぎる「HHKB Studio」に移行しています。ポインティングスティックやジェスチャーパッドは使用していません。

HHKB Studio 英語配列/墨モデル
HHKB Studio 英語配列/墨モデル。ただし、ポインティングスティックやジェスチャーパッドは使っていないとのこと

学生時代に所属していたサークルではいろんなキーボードを使っている人がいましたが、コンパクトさと独自の配列に強く惹かれ、ハイエンドキーボードとして初めてHHKBを購入し、そこから今まで使い続けています。

つねさま:私は2001年頃に「HHKB Lite2」を使い始めました。大学のUNIXワークステーションの「Aの左隣がControl」という配列が自宅でも使いたくて辿り着いたんです。一時期分割なども試しましたが、ここ7〜8年はHHKBに戻りました。

HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/墨モデル。30周年記念モデルに無刻印のキーキャップセットに換装した
HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/墨モデル30周年記念モデルに、自身で無刻印のキーキャップセットを換装した

プロの道具として、長く同じ形のものが「いつでも安定供給されていること」が何より重要だと考えているからです。 今は「HHKB Professional HYBRID Type-S」の、1人1台しか買えないという30周年限定「30gモデル」を愛用しています。使い始めると、元々持っていた45gのものが重く感じてしまい、どうしようか考えていたところ、フリマアプリで売られているのを見つけ、自宅用に買い足しました。

「安定供給されていること」を重視しているので、ぜひ定常販売してほしいですね!

nagami:私も「HHKB Professional Type-S 英語配列 白」モデルを愛用しています。

HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/白モデル
HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/白モデルに、レトロなキーキャップを合わせている

HHKBを知り、購入に至るきっかけを作ってくれたのは近所に住むエンジニアの同僚でした。彼のタイピングする姿が格好よくて、無理をして英語配列を購入したんですよね。1カ月で慣れて、気づいたらこれしか使えなくなっていました。今では会社用・自宅用で2台持ちです。

「Domikey」というレトロなキーキャップに交換し、使っています。自作キーボードにも挑みましたが、HHKBに戻ってきてしまいました。

吸振マット
吸振マットを使うことで、タイプ音を減少させ、指あたりが良くなり、ガタツキも抑えられる

――自作キーボードの設計や製作をされているyuchiさんとしおりんさんは、HHKBをどう見ていますか?

yuchi:先輩の無刻印黒HHKBに憧れて「Professional 2」を買ったのが最初です。その後「HYBRID Type-S(雪)」を発売日のHHKBユーザーミートアップvol.3会場で即買いし、和田英一先生にサインをもらいました。

和田先生のサイン入り
レジェンドである東京大学名誉教授 和田英一先生のサイン入り!

ただ、本当に全部無刻印でいけるか、というとちょっと怪しいので、「0」のところには他とは異なる水色のキーキャップをはめています。

分割キーボードとHHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列無刻印/白モデル
自作の分割キーボード(Lily58)とHHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列無刻印/白モデル。赤と水色のキーキャップはアクセントになっているだけでなく、目印にもなる

今は自作キーボードがメインですが、HHKBの極限のシンプルさと、唯一無二の静電容量無接点方式の打鍵感は今でもリスペクトしています。私の自作キーボードの設計にも、ControlやEscapeの配置といったHHKBのエッセンスを踏襲しています。

しおりん:私は入社後に分割キーボードを知り、2〜3年前に社内メンバーで「遊舎工房」の工作室を貸し切り、yuchiさんに分割キーボードの組み立て方を教わって「Lily58」を作りました(参考リンク: https://tech.pepabo.com/2024/01/09/keyboard-buildevent/)。その後、分割キーボードだとマウスとの往復が面倒になり、「真ん中にトラックボールを埋め込もう!」と、去年半年かけてトラックボール付き分割キーボードである「keyball44」を組み立て、固定席に常設しています。MacBookを間に挟むと、収まりが良いんですよ。

自作分割キーボード
自作分割キーボードと仕事用のMacBook。ジャストフィットで挟み込むことができる

肉球付きキーキャップを使ったり、ESCキーには「シマエナガのUFOキャッチャー」を模したキーキャップをつけたりして、デコレーションを楽しんでいます。

肉球キーキャップ
肉球キーキャップ
シマエナガのUFOキャッチャー
シマエナガのUFOキャッチャーがESCキーに取り付けられている

くんさん:私はKinesisのエルゴノミクスキーボードとケンジントンのトラックボールの組み合わせを20年愛用しています。

HHKB風レイアウトの分割キーボード「Choco60」を自作してみたこともあるのですが、慣れているAdvantage 360ではCtrlやAltキーなど、同時使用するモディファイアーキーが全部親指際に寄っているので、分割キーボードだとつい親指が動いてしまう。スペースキーなのに。それでもうだめだな、となって、今ではAdvantage 360とトラックボールの組み合わせがデフォルトになっています。

Kinesisの「Advantage 360」とケンジントンのトラックボール
Kinesisの「Advantage 360」とケンジントンの「SlimBlade Pro EQ トラックボール」。 Kinesisブランドでは、以前に「Advantage 2」を使っていたという

――HHKBにまつわる印象的なエピソードはおありですか?

つねさま:無刻印モデルのキーキャップをすべて取り外して洗うと、どこにはめれば良いかわからなくなりがちですよね。それでキーキャップ裏の形状を表す数字の刻印を頼りに戻すTipsをブログ(URL: https://tnmt.info/blog/hhkb-professional-hybrid-type-s-key-number/ )で紹介したところ、同じように困った人たちがいたようで、今でもそこそこアクセスがあります (笑)。

yuchi:大学の研究室で無刻印を使って卒論を書いていたんですが、「それ、打てるの?」と周囲からはギョッとされましたね。みんなは研究室に備え付けのPCに付属するキーボードを使っていましたので。

もっとおもしろくできる! 物理とソフトウェアの両輪で挑みたい

――最後に、今後挑戦したいことと読者へのメッセージをお願いします。

yuchi:これまではUSBケーブルを電力供給にする5Vの電子工作しかできませんでしたが、電気工事士2種の資格を取ったので、100Vの電圧を扱う電子工作をやりたいです。ソフトウェアだけでなく、フィジカルな電気のほうのエンジニアにもなれる。二刀流を目指していきたいですね。

yuchiさん
yuchiさん

しおりん:「カラーミーショップ byGMOペパボ」でも、AIを使ってショップを運営するオーナーさんが増えてきました。APIやMCPを拡充したり、AIが管理画面を操作するときにつまずきやすいところを直したりして、AIにとっても使いやすい「カラーミーショップ byGMOペパボ」づくりに貢献していきたいです。一方で、まだ手作業で運営されているオーナーさんもいらっしゃるので、「手作業でやるしかない」と感じている作業も、AIを使えば今すぐ楽にできると思っていただけるような機能や改善に取り組んでいきたいです。

しおりんさん
しおりんさん

プライベートでは、寒くなってきたので休みの日はずっと編み物をしています。せっかくなので編みぐるみも作って、好きなものに囲まれた固定席でもっと楽しく仕事ができるようにしたいですね。

しおりんさんのデスク
ぬいぐるみやアクリルスタンドなどでにぎやかに飾り付けられているしおりんさんのデスク。周囲からも「もっとデコっていいのに」と言われていたので、さらなる飛躍が期待できそうです

drumato:サービスのインフラを支えられるよう、これからもメンバーと協力しながら邁進していきたいですね。

drumatoさん
drumatoさん

nagami:「SUZURI byGMOペパボ」では、自分で在庫を持たずにオリジナルグッズを作成して販売できるというサービスを提供しています。これまで公開、販売することが前提のサービスでしたが、より狭いコミュニティや友人、個人でグッズ制作を楽しむことを目的としたラインも提供をスタートしました。アンブレラマーカーなど販売用と自分用で展開している商品も違うので、ぜひ読者の皆さんにも一度覗いていただけたら嬉しいです。

nagamiさん
「デジタルだけでは味わえない興奮をSUZURIから得られる」と語ってくれたnagamiさん

くんさん:ゲーム好きなのですが、「プライベートでもディスプレイを見ているよね」といってもらってから、ガンプラ制作を再開しました。素組みだけでなく、塗装も行って、いずれマイコンを組み込むなどして実際に動かしてみたいなぁと思っています。

仕事方面では、AIを活用したサービス開発のスピードがどんどん上がっていっているんですが、運用についてはAIに任せにくい、任せられないなどいろいろな議論が行われていて、道の途中という感じですね。なので、AIに任せられる範囲をどんどん広げていきたいと考えています。

くんさん
「AIに任せられる範囲を広げていきたい」と意気込みを語るくんさん

つねさま:プライベートでは、仕事で触れ続けているPCから少し離れてみようかなというのと、前から憧れがあったので去年からダンスを習い始めました。

かっこよく踊れるようになりたいつねさま
「かっこよく踊れるようになりたい」というつねさま

最近は、「AIがエンジニアやIT関連の仕事を奪う。残るのはフィジカルだ?」と言われているので、趣味の方で逆張りをしているという感じですね。

GMOペパボのミッションは、「インターネットで可能性をつなげる、広げる」から「人類のアウトプットを増やす」に変わりました。以前はWebやスマホなどで使えるサービスに限定していたようなイメージでしたが、今ではフィジカルなところにも拡大されてきている。隅々にまで、ITが行き渡るようになってきたので、世の中をもっと楽しく、もっとおもしろくしていきたいですね。

また最近は「AIエージェントをもっとおもしろくできる。」というタグラインをかかげ、「ロリポップ!AIエージェントクラウド byGMOペパボ」「ロリポップ!AIゲートウェイ byGMOペパボ」などAI関連のサービスを多数提供開始していますので、ぜひ使ってもらえればと思います。

――キーボードへの情熱から、GMOペパボ様のものづくりに対する真摯で温かい姿勢が伝わってきました。本日はありがとうございました!

GMOペパボのエンジニアの皆さん
キーボードを囲んで話に花を咲かせるGMOペパボのエンジニアの皆さん。お忙しい中、取材に応じてくださりありがとうございました!

執筆者

渡辺まりか

通電するガジェットをこよなく愛するフリーランスライター。馬が好きで乗馬ライセンスを、海が好きで二級小型船舶操縦士免許を、昔からのあこがれで普通二輪免許を取得するなど多趣味。物欲を抑えつつ、編み物をライフワークとするなどアナログな一面もある。

関連メディア