パブリックビューイングも開催!HHKBユーザーミートアップ Vol.6 イベントレポート

HHKBユーザーミートアップvol.6イメージカット

 2022年12月9日、「HHKBユーザーミートアップ Vol.6」が開催されました。今回は、オンライン開催に加えて、タッチ&トライスポットの一つである「原価BAR」にHHKBエバンジェリストやメディアの方などを招待したパブリックビューイングも開催されました。

 昨年のHHKBユーザーミートアップ Vol.5は25周年ということで、大きな節目となるイベントでした。オンライン開催でしたが、筆者も横浜のスタジオに現場入りして、取材しました。第1回目はHHKB 20周年ということで2017年秋葉原のUDXギャラリーで開催されました。こちらもライターとしての仕事で取材しています。今回は、パブリックビューイング会場である原価BARに参加しました。

 今回、Zoomには約400名の応募があり、同時配信のYouTube Liveでも多くの人が視聴していただきました。原価BARも2階席を貸し切り、30人以上が集まりました。全員がHHKBの大ファンなので、熱い空気になっています。

 18時開演で、まずはHHKBをここまで育ててきたPFU コミュニケーション戦略室 室長 松本秀樹さんからの挨拶。

「HHKBは26歳を迎えました。1年前に25周年モデルとして「HHKB Professional HYBRID Type-S 雪」を出しましたけれども、さらにエレガントになった雪モデルが定番モデルになりました。それをフューチャーする形で、お洒落な方たち、ギークな方たちを迎えてトークセッションします。ご承知の通り今年PFUは親会社が変わったりして激動の1年でした。皆さん、HHKBがどうなるのか、と思われるかもしれませんけど、大丈夫です。皆さんがいる限り、HHKBはなくなりません。ぜひ引き続き、応援よろしくお願いします」(松本さん)

 いつもであれば、ここでHHKBの生みの親である和田英一先生から挨拶をいただくところですが、今回は家から参戦したいということで、Zoomでの参加となりました。

パブリックビューイング会場から挨拶する松本室長
PFU コミュニケーション戦略室 室長 松本秀樹さんはパブリックビューイングから挨拶しました。

若年層ユーザーが増加、無刻印にチャレンジする人も増え、累計出荷台数64万台を突破

 PFU ドキュメントイメージング事業本部 販売推進統括部 統括部長 山口篤さんから、HHKB 2022の振り返りが発表されました。まずは、何はともあれ、累計出荷台数です。昨年が60万台でしたが、なんと今年は約4万台伸びて、64万台を突破しました。コロナ禍で在宅ワークをする人が増えたからか、販売台数も大きく増えました。そのうち、日本国内が83%、海外が17%で、こちらは前年と同じでした。

累計出荷台数64万台突破を表すグラフ
HHKB 累計出荷台数が64万台を突破したと報告する山口さん。

 HHKBのラインナップには、雪モデルが追加されることになりました。日本語配列と英語配列、そしてその両方に無刻印モデルも追加され、全16モデルから20モデルとなりました。

 シリーズ別の販売状況は、「HHKB Classic」が4%、「HHKB HYBRID」が11%、そして最上位の「HYBRID Type-S」が85%と圧倒的でした。ちなみに、米国では「HYBRID Type-S」が49%、「HHKB HYBRID」が18%、「HHKB Classic」が33%となっています。日本のHHKBファンは皆さん静音性にこだわっているのがわかります。

 カラーはやはり「墨」が人気。「雪」を入れても、「墨」が過半数の55%となっています。現在は「白」が38%、「雪」が7%ですが、これから「雪」が大幅に伸びていきそうです。

 英語配列、日本語配列、無刻印の割合では、大きな変化がありました。なんと、無刻印が昨年の9%から、14%に増えているのです。日本語配列での無刻印キートップセットも販売しており、無刻印にチャレンジしている人が多いようです。ブラインドタッチができるという人でも無刻印はなかなかハードルが高いのですが、さすがHHKBユーザーというところでしょう。

HHKBシリーズの販売比率を表すグラフ 日本語配列、英語配列、無刻印の比率を表すグラフ
HHKBは20モデルに。シリーズでは「HYBRID Type-S」が人気です。
HHKBシリーズの販売比率を表すグラフ 日本語配列、英語配列、無刻印の比率を表すグラフ
カラーは「墨」が相変わらずの人気。無刻印ユーザーも増えました。

 年齢別のデータでは、若年層の伸びが大きかったのが印象的でした。昨年は30代までが22.8%だったのですが、今年は31.1%と一気に8%も伸びていたのです。

「「雪」を出したおかげで、若い世代の方も増えてきました。昨年、HHKBを買っていただいた人たちが、口コミでやっぱりHHKBいいよ、なんて言っていただいて、若い世代の方に火が付いているのかな、と思います。高くても良いものとして買っていただけるということは、本当に感謝しています」(山口氏)

 男女比は現時点で、女性4.7%、男性95.3%。この数値は10月末時点のデータで、年末までに変わる可能性があります。昨年も、ミートアップ時点で女性3.5%だったのに、年末には5.3%に伸びています。今年はどうなるでしょうか。

HHKBユーザーの性別 HHKBユーザーの年齢層
若い世代のユーザーが増えました。

 2022年は5月に日本語配列の無刻印キートップセットを発売しました。今までは日本語配列の無刻印はなく、「雪」の限定モデルでお目見えしました。その無刻印が大きな反響をいただき、「墨」と「白」でも無刻印のキートップセットを出すことができました。

 日本語配列の無刻印キートップが出たことで、「遊舎工房」さんが提供されている「HHKBキーキャップ刻印サービス」でも日本語配列が注文できるようになりました。無刻印のキートップに、好みのデザインをレーザー刻印できるので、自分だけのHHKBに仕立てられます。

HHKBキーキャップ刻印サービスのデザイン例
「遊舎工房」さんの「HHKBキーキャップ刻印サービス」。

 9月には様々な理由で返品されたリファービッシュ品の販売が始まりました。返品となった製品を点検清掃して販売するものですが、返品の理由の多くが、英語と日本語の配列、刻印ありと無刻印、色などが違っていた、というものです。ラインナップが常に揃っているわけではないので、欲しい製品がある場合はこまめにチェックしましょう。

 10月には「雪」モデルが販売されました。キートップの中央印字デザインが特徴です。とはいえ、25周年の「雪」モデルも2500台限定で、これはこれでいいと思います。

HHKB25周年限定モデルと通常モデルの比較
「雪」モデルのキートップの違いを比較しました。

 「雪」モデルをきっかけに、異業種からも注目されました。女性誌の「SPUR(シュプール)」のウェブ版や、音楽メディアの「Real Sound」、メンズファッションメディア「UOMO」などに取り上げられています。

SPURの記事はこちら
Real Soundの記事はこちら
UOMOの記事はこちら

 5月には、映画「シン・ウルトラマン」に美術協力として、HHKB BTが出演しています。すごいことなのに、この時は5月末にシンプルな告知ツイートが投稿されただけでした。実は裏話があったのです。

 映画の話が来たのは2019年秋でした。もちろん、オファーに応えて、当時最新だったHHKB BTを貸し出しました。しかし、その後コロナ禍に入り、映画の公開が延期になりました。PFU側も新モデルの開発などで、てんやわんやしています。そして、2021年5月、忘れたころに映画が公開されました。

 そこで、HHKBが登場することを思い出したのです。せっかくコラボしたのだからと、すぐに円谷プロにコンタクトを取り、コラボ企画を進めました。そして、11月アマゾンプライムビデオでの配信が確定した時に、ようやくコラボセットを出すことができました。限定87セット出したところ、5日間で完売しました。反響が大きく、現在、追加生産も検討しています。

映画『シン・ウルトラマン』に関するHHKBアカウントのツイート 映画『シン・ウルトラマン』とHHKBコラボセットの写真
「シン・ウルトラマン」とコラボしたHHKBが発売されました。

 続いて、真っ赤なHHKBがお目見えしました。これは、新カラー、ではなく、松本さんが還暦を迎えた時に、山口さんたちからプレゼントした特別モデルです。自分たちで白モデルを赤く塗ったそうですが、なかなか色が乗らず、苦労したそうです。

 昨年のバレンタインネタはHHKBに銀紙を巻いただけでしたが、今年はなんと本物のチョコづくりにチャレンジ。3Dプリンターでチョコの型を作りました。しかし、チョコが型から外れず、山口さんの指示で型を割ったところ、チョコも割れてしまいました。来年はぜひチョコレートメーカーの方とコラボして欲しいところです。

真っ赤なHHKBのツイート写真
還暦のお祝いに作成した真っ赤なHHKB。
HHKBバレンタインツイートの裏側
HHKBチョコづくりには失敗しました。

 続いて、松鶴れいらさんが紹介されました。パソコン入力コンクールの全国大会において、中学生で1度、高校生で2度も日本一になった方です。1分間で197文字を入力し、誤字や変換ミスは0。とてつもない早さです。現在は、高校3年生で、高校最後の大会にHHKBで臨んでくれました。

松鶴れいらさんに関する写真
3度日本一になった松鶴れいらさんにHHKBを使っていただきました。

 タッチアンドトライスポットも増え、東京や名古屋、大阪、福岡、石川で12企業14社となっています。福岡市はワーケーションを推進しており、コワーキングスペース「Q」さん、「エンジニアカフェ」さん、海が見える「Salt」さんに拡大しました。金沢では、金沢駅から2分の「Microsoft Base Kanazawa」、東京でもブロガー/テクニカルライターの清水亮さんが運営している「技研ベース」でHHKBに触れるようになりました。

小山哲志さん、DANBOさん、市川渚さん、鳥羽恒彰さんのトーク写真
タッチアンドトライスポットが増えました。

「白」にこだわりありの3人がディープなトークを繰り広げる

 最初のスペシャルトークセッションは「こだわりの先に辿り着いた白の魅力について」というテーマです。クリエイティブコンサルタントの市川渚さんと、整理収納アドバイザーの米田まりなさん、モノ系ブロガー/YouTuberの鳥羽恒彰さん、そしてファシリテーターとしてMac OTAKARA(Macお宝鑑定団)を主宰するDANBOさんの4名のゲストをお招きして、お話ししていただきました。

HHKBタッチ&トライスポットの一覧
左からDANBOさん、市川渚さん、米田まりなさん、鳥羽恒彰さんです。

――今回HHKBに新しく純白の「雪」モデルが加わりました。お三方それぞれの、白についてのこだわりを教えてください

「私は身の回りのものと普段持っているものを白とシルバーで揃えてるというか、もうそれしか買わないと決めています」(市川さん)

「私もインテリアと洋服は白が中心です。片付けのアドバイスも、極力すべてのものを白に近づけて、色を消しましょうと言っています。例えば商品のラベルを剥がして本体を白くしたり、本も箱に詰めたり、仕切りで仕切って白くすると、集中力アップにも繋がります」(米田さん)

「僕は、デスク回りはできるだけ白で統一したいと思っています。最近は、差し色を入れるのにはまっていて、ちょっとオレンジのものを入れてみるといった感じです」(鳥羽さん)

――白にこだわっているのはなぜですか?

「高校生の時に実家を建て替えて、自分の部屋を好きなようにしていいと言われたので、iMac G4に合わせて、床も壁も全部白にしました。そこから、部屋に合わせて白い小物を買うようになりました。あと、同時期にMartin Margielaというデザイナーにはまっていました。お店の中の空間がとにかく真っ白なのがかっこいいって思って、自分の部屋に置いてあったタンスを白く塗ったりしました」(市川さん)

「私のデスクの横には、アイリスオーヤマさんの白い3段ボックスがあります。皆さんに推奨している900円の商品です。机を壁か窓に向けることで集中が続くと言っているのですが、特に白いものに向かって作業をすると、集中力が散りにくいので、カーテンも白くしています。マウスパッドもその上のHHKBももちろん真っ白です。仕事が終わったらこの状態に戻すことで、明鏡止水みたいな状況を体現しています」(米田さん)

「高校生の時にガラケーを持っていて、そのガラケーが白でDSとかPSPとか周りのものを白で揃えると、なんか気持ちいいという感覚がすごいあって、それで、パソコンとか細かい充電器も白に揃えてったっていう感じです」(鳥羽さん)

――そんな簡単に白に統一することってできるものですか?

「どちらかというと、白いものじゃないと欲しくないです。白の中でもさらに気に入ってるものしか買わないので、逆に気に入ってるからこそ全部を大事にしたいです」(市川さん)

「白かつ四角で空間を区切ると、初心者の方でもスッキリできるのでお勧めしてます。例えば、パソコンのコードは黒いですけど、ジップロックに入れて、無印良品とかの四角い篭の中に入れてしまえば、部屋の遠くから見ると白に変わります。それにテプラとかで中身を書いておけば、すべてが白の箱になります」(米田さん)

「僕はどちらかというと、なんかいいなっていう感じで、白いものを集め出しました。ピンと来たものを集めていたら、自動的に白が多くなったという感じです。頑張って白に揃えよう、というよりは、気が付いたら白ばっかりでした」(鳥羽さん)

――HHKBの「白」はかなりベージュに近く、「雪」は純白に近いと言われています。お三方から見て、今回の「雪」モデルの「白」はどうですか?

「モノとしてこの白い感じは嬉しいです。僕はHHKBがすごい好きですが、他に選択肢がなかったのでベージュっぽい「白」を使っていました。「雪」が選択肢に入ったことで、脳が考える前に買っていました。ただ、刻印はもうちょっと浅かったり、小さい方がうれしいです」(鳥羽さん)

「私もすごくこの色味を気に入っています。1日12時間以上キーボード触ってることが多いので、(HHKB雪モデルは)ネイルを白にした時の色みたいな気分で手元を見ながら自己肯定感が上がっていくので助けられています。ただ、掃除の仕方がわからず、1年ぐらい経ってきた中で、どのように白を保ったらいいんだろうかっていうのは悩みです」(米田さん)

「この白は全然良い白です。これがもうちょっと青に振れていたりすると、ちょっと違うアウトの白になります。私はチョークっぽい白が好きなので、これを持った時に本当にあー、いい白だと思いました」(市川さん)

――今後、HHKBこうなってほしい、という要望はありますか?

「「墨」の刻印って黒に黒で。あまり主張しない感じです。その「雪」バージョンを作ってもらいたいです。見にくいのがいいというか、基本は真っ白で、よく見たら刻印してあるみたいな」(市川さん)

「私、ミッフィーが大好きで、ミッフィーの口のデザインやミッフィーカラーのオレンジや青のEnterカバーが欲しいです」(米田さん)

「テンキーが欲しいです。もう1つは、ノートPCで使ってる時はBluetoothで繋いでいるので、スリープ時間を延長するかスリープをオフにできたる機能があったらいいと思います」(鳥羽さん)

 山口さんが、DIPスイッチで自動スリープ機能をオフにできると即答したところ、それなら「不満ないかも~」と笑いが起きました。

コロナ禍でも動きが多様化&広がっているキーボード界

 続くトークセッションのお題は「キーボード界の今とこれから」というテーマです。2017年から自作キーボードショップ「TALPKEYBOARD」を運営している池田洋介さん、YouTubeで「ほぼ週刊キーボードニュース」を発信しているびあっこさんとぺかそさんが登壇しました。モデレーターはほげ技研の小山哲志さんです。ちなみに、びあっこさんとぺかそさんは、2年前の「マツコの知らない世界」(TBSテレビ)でキーボードを紹介したお二人です。

小山哲志さん、池田洋介さん、びあっこさん、ぺかそさんのトーク写真
左から、小山哲志さん、池田洋介さん、びあっこさん、ぺかそさんです。

――2022年のキーボードライフ、キーボード界はどんな感じでしたでしょうか?

「キーボードパーツを全般に販売してる動向から言うと、円安という社会情勢でなかなか販売したいものが販売できなかったというジレンマがありました。キーボード自体は、自作キーボードの形状の広がりはすごくあったと思ってます」(池田さん)

「コロナの間に色々リリースされたキーボードを買って、それを組み立てて遊んでいます。新しいキースイッチが出たりしたので、そういうものを試してた年でしたね」(びあっこさん)

「2017~2019年で、自分の作りたいキーボードを作り続けて一直線に進んできたのですが、この1年は他の人の作品を見て、すごく関心したり、得るものが多かった年でした。あとは、手ごろで品質の良いスイッチが出てきたり、勢いが衰えるどころか、増しているなと感じています」(ぺかそさん)

――コロナ禍でキーボード界への影響はどうでしたか?

「新しい製品が出てくるスピードは全然緩んでいなかったと思います。把握できないくらい新製品が出てきて、その中からいいものを探していました。まぁ、新製品が出ても、入ってこないという問題はありました」(池田さん)

――日本のコミュニティもこの3年間コロナ禍に見舞われました。寂しい状況ではありますが、その中でも新しい技術をキャッチアップしてる人がいるというのは面白いですよね。

「日本国内でも新しいことにチャレンジされている人がいます。キーキャップの金型を作って射出成型されたり、中国の工場でオリジナルのキーキャップを作っている人がいます。コロナ化で人を動かせないので、出荷が遅れた、というような苦労話は耳にしましたね。自分もずいぶん前に頼んだキーボードが、今年になって届いたということがありました」(びあっこさん)

「コロナ禍では触れないので打鍵感はわからないけれども、見た目の良さに影響されて、キーボード界に入った人が多いです。そういう意味では、ある意味コロナが良い影響を生み出しています」(ぺかそさん)

「打鍵感は実際に触らないとわからないですが、ではその部分がないがしろにされているかというと、逆に先鋭化してる所もあります。コロナ禍では、音にこだわるチューニングにフォーカスするような動画が増えましたね。アメリカでは、この人の作るキーボードはいい音がする、みたいな話題が取り上げられることがあります」(びあっこさん)

――これから、どんなキーボードが欲しいですか?

「本当にパーソナルな意見になりますが、キーボードは入力装置に徹底して欲しいです。あまり7色に光るかとか、画面が付いているのは、ぶっちゃけノイズだと思ってます。どちらかと言うと、自分の入力する指先の感覚に寄り添うようなデバイスであってほしいです。ある意味、入力装置として、マウスポインタ側のデバイスも一緒に発展してほしいです」(ぺかそさん)

「私は、餅は餅屋派です。キーボードはキーボード、トラックボールやマウスなどの入力デバイスはそれぞれに適した設計があると思っているので、分かれてた方がいいと思っています。私はキーボードに何かを求めていなくて、ミニ四駆のように、キーボードのスイッチやキャップやレイアウトを変えた時の変化そのものを楽しんでいます。キーボードはある意味プレイグラウンドで、何か自分が入力をして、それに対してより最適化された結果を得たい、と感じています」(びあっこさん)

「自分の中でのキーボードは3パターンに絞られています。1つは仕事で使うもので、いかに素早くスムーズに打てるか。2つ目が持ち運びで、やはりトラックボールの機能が1つにまとまってないと、持ち運び不便なので、作っちゃおうかなって感じ。3つ目が、お家でまったり使うもの、ゆっくり時間を楽しむものです。インテリアとして、見て愛でられると、大人として楽しめるかなと考えています」(池田さん)

――ちょっと大胆にも未来予測的で、これからの1年間がどうなるのかを予測してみませんか?

「1年後は、個性が爆発してほしいです。そのためにも、キーボードのカラーリングを変えたり、自分好みの個性を出したキーボードを作るのが簡単になってほしい。カスタマイズのハードルが低くなってほしいと思います」(ぺかそさん)

「ポインティングデバイス一体型キーボードは来ると思います。いろんな働き方が出てきた時に、持ち運べるモビリティは重要です。自分としては、キーボードにはカスタマイズ性を求めているので、スイッチやキャップを簡単に変えて、キーボード遊びの文化のようなものが広がると面白いなと思っています」(びあっこさん)

「今まではオープンソースとファブラボ的な作り方の文脈で来てたんですけども、今は少し変わってきています。クラウドファンディングを使って、ほぼメーカーに近い作りのものが、日本の自作キーボードのコミュニティからも出てきています。中国の工場の性能が上がり、コストもすごく下がっていて、いろいろなものがより作りやすくなっています。物づくりの敷居が下がって、発展してるので面白いと思います」(池田さん)

大盛り上がりのパブリックビューイング@原価BAR

 トークセッションの合間に、原価BARと中継がつなげられ、HHKB エバンジェリストのトークタイムがありました。まず登場したのはブロガー/テクニカルライターである清水亮さん。パブリックビューイングではHHKBEERなどお酒が振舞われており、清水さんの後ろで大いに盛り上がっています。

「技研ベースに新しい会社を作って、最近テクノエッジ編集部もできました。そういうオタクやエンジニア、もしくはただのガジェット好きとかが集まっています。コワーキングスペースなんだけど、座ってる人が全員CTOとかなのが面白いんですよね。同じような会社のCTOだから、この仕事、お前やるか? みたいな感じで、仕事が来たりとかします。実際、技研ベースで新しく立ち上がったのが浅草橋AIデザイン事務所です。そこはAIにロゴマークとかのデザインをしてもらい、アスキー出身のデザイナーの人が、ブラッシュアップしてくれます。今、僕の新しい会社のロゴマークも発注してます。そういう、いろんな出会いがある場所なんです。毎週金曜日と土曜日はバー営業もやっていて、お客さんとの交流が非常に面白い場所です。そこにもHHKBが全種類あるんですよ。誰でも借りられるようにして、布教活動に努めております」と清水さん。

パブリックビューイング会場からコメントする清水亮さん
HHKBエバンジェリストでブロガー/テクニカルライターの清水亮さん。

 次に登場したのは、愛知県立杏和高等学校 情報科教諭 魚住惇さん。

「最近、愛知県の高校ではギガスクール端末でタブレット端末の配備が始まってるのですが、キーボードがどれもやばい。へにゃへにゃするし、ちっちゃい! なので、やっぱりHHKBを勧めるべきだなっていうふうに今思うわけですよ。僕はHHKBと共に人生を歩んでいきたいと考えていました。その結果がこちらです。HHKBケーキと共に人生歩んできましたよ。新婚旅行にもHHKB、子供が生まれた時にもHHKB、来年3月に第2子が生まれる予定ですが、その時もまた撮りたいと思います。人生と共にHHKB、それを大事にします」と魚住さん。

iPadでHHKBのウェディングケーキやHHKBと赤ちゃんが並んでいる写真などを見せてくれました。

パブリックビューイング会場からコメントする魚住惇さん
HHKBエバンジェリストで高校教諭の魚住惇さん。
パブリックビューイング会場側の集合写真
パブリックビューイング側の集合写真です。皆さん久しぶりのオフラインで思いっきり交流されていました。

 第1回目からHHKBミートアップには参加していますが、初のパブリックビューイングを自分が経営する飲食店で開催できたことは本当にうれしく、誇りに思っています。HHKBは相変わらずファンや関係者の熱量が高く、コロナ禍でもHHKBの勢いは止まりません。2023年のHHKB界が楽しみです。

執筆者

柳谷 智宣

IT・ビジネス関連のライター。Windows 98が登場した頃からPCやネット、ガジェットの記事を書き始め、現在は主にビジネスシーンで活用されるSaaSの最先端を追いかけている。飲食店や酒販店も経営しており、経営者目線でITやDXを解説、紹介する。

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