3Dプリントでカスタム!HHKB Studioキートップを自作する方法!
HHKB Studioは、カスタマイズ性も魅力の1つ。
キースイッチやキーマップ以外に、キートップもカスタマイズできることをご存知でしょうか?
HHKB公式ページでは、HHKB Studioのキートップ3Dデータを公開しています。
3Dデータの公開当初(2024年2月1日)はフルキーの一括ダウンロードのみでしたが、2024年7月12日以降、個別のキーごとに分割したデータもダウンロードできるようになり、便利にご利用いただけます。
https://happyhackingkb.com/jp/news/2024/news20240201.html
この3Dデータを利用することで、オリジナルのキートップを簡単に自作できるんです。
でも、具体的にどうすればいいか、すぐにイメージできる方は少ないかもしれません。
そこで!
今回、この3Dデータを利用し、以下の方法で実際にキートップを作ってみました。
- 社内の3Dプリンターを使って作る
- 「DMM.make」の3Dプリンティングサービスを利用して作る
果たしてうまく出力できたのでしょうか?(笑)
本記事では、HHKB Studioのキートップ自作方法についてレポートします。
自作キートップに興味のある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
公開中!HHKB Studioのキートップ3Dデータ
HHKB Studioのキートップを自作する場合、まずは公開されているキートップの3Dデータを入手しましょう。
以下のURLからアクセスしてください。
https://happyhackingkb.com/jp/download/#keytop
「キートップ3Dデータダウンロード」のリンクをクリックすると、使用許諾条件の確認、およびお客様情報を入力するダウンロード申し込み画面が表示されます。
使用許諾条件に同意し、入力情報の確認が完了すると、ダウンロードページ(申し込み完了画面)が表示されます。
以下の3種類のHHKB Studioのキートップ3Dデータがダウンロードできますよ。
- メインキートップ3Dデータ(一組)
- メインキートップ3Dデータ(種類別)
- マウスキートップ3Dデータ
「一組」は、マウスキー以外のすべてのキートップが一括でセットになっているデータ、「種類別」は、キーの種類ごとに分割されているデータです。
キーを1つ、2つ単体で出力する場合は、「種類別」のデータを利用するのがおすすめ。お使いの配列や出力するキーに合わせ、必要な3Dデータをダウンロードしてくださいね。
なお、ダウンロードできるファイル形式について、少し補足しておきます。
ダウンロードできるファイル形式は以下の3種類。
- OBJ 形式
- STL 形式
- STEP(STP) 形式
これらのファイル形式は、CADツールでデータを加工したり、3Dプリンターへ送って出力したりするときに使用する3Dモデルの一般的なファイル形式です。
OBJ形式やSTL形式のファイルは、3Dモデルの形状(ジオメトリ)情報のみが保存されたデータ形式です。STEP(STP)形式のデータは、3Dモデルの形状(ジオメトリ)だけでなく、色などの情報を含めることができる形式です。
さて、公式サイトからキートップ3Dデータをダウンロードできたら、3Dプリンターにファイルを送って、実際にキートップを出力してみましょう。
まずは、社内の3Dプリンターで単色(黄色)のキートップを出力してみます。
社内の3Dプリンターを利用して作ってみた!
今回利用する3Dプリンターはこちら。
3Dプリンターによる出力手順
HHKB Studioの3Dキートップデータ(一組:STL形式)をダウンロードした後、以下の手順で3Dプリンターに出力しました。
- 3D CADツールで、ダウンロードした3Dデータ(STL形式)を編集し、出力用データを作成
- 3Dプリンターの出力準備
- 出力用データ(STL形式)を3Dプリンターに送り、出力開始
では、それぞれの手順について、詳しく見ていきましょう。
3D CADツールで、ダウンロードした3Dデータ(STL形式)を編集し、出力用データを作成
必要に応じて、ダウンロードした3Dデータを編集します。
ダウンロードした3Dデータをそのまま出力する場合、編集は不要です。
今回は、3D CADツールで「一組」タイプのデータをダウンロードしたため、実際に出力しないキーのデータを削除する編集を行いました。
しかし、一部のキーだけを出力するなら、最初から「種類別」タイプのデータを利用すれば編集作業(手順1)は不要になるので、その方が簡単です。
なお、3Dデータを編集する場合は、3D CADツールが必要になります。事前にインストールしておきましょう。フリーの3D CADツールなどもあるので、お好きなツールをご利用ください。
編集後は3Dプリンターが扱える形式にエクスポートしておきましょう。
お使いの3Dプリンターによってサポートしているファイル形式が異なるのでご注意くださいね。
ちなみに、今回使った社内のファブスペースの3Dプリンターは、STL形式のデータをそのまま出力できるので、エクスポートしなくても大丈夫でした。
3Dプリンターの出力準備
次は、使用する素材を選びます。
今回は、黄色の素材を使って、黄色のキートップを出力してみます。
単色のキートップを出力するだけなら、使う素材や色を変えればキートップの仕上がりを変えられますよ。
素材が決まったら、プリント台の平行調整や使用する素材のセットなど、3Dプリンターを使うために必要な準備をします。
3Dプリンターへの出力準備が終わったら、いよいよ出力です!
出力用データ(STL形式)を3Dプリンターに送り、出力開始
手順1で作成したSTL形式のデータを3Dプリンターに送り、3Dプリンター固有のスライスソフトで出力設定を行い、いよいよ出力開始です。
今回は同じキーを2個出力するので、スライスソフトでキーデータを複写して一度に2個出力するように設定しています。
果たして出力の結果はいかに…?
3Dプリンターでの出力結果は?
今回、出力したのは、最上段のキートップ2つ。
こんな感じに出力されました。
実際にキーボードにセットするのは「5」と「0」のキーですが、出力すると無刻印のキートップになるため、一番上の段ならどのキーにでも使えます。
実際にHHKB Studioにセットしてみます。
きちんとセットできました!
実際にタイピングしてみると、打ち心地も音も悪くなく、打っていて違和感もあまりありません。なかなか良い感じに作ることができました!
楽しく作ることができたので、調子に乗って、他にもいろいろ作ってみました。(笑)
ちょっとやりすぎでしょうか?(笑)
でも、単色のキートップはもちろん、単純な2色(2層)のものなら、出力の途中で一時停止し、素材を交換するだけで作ることができました。
ただ、層を上に重ねていくデザインなら会社の3Dプリンターで出力できたのですが、凝ったデザインとなると難しい…。
そこで、外部のサービスを利用して、複雑なデザインのキートップ作成にも挑戦してみました!ここからはその方法をご紹介します。
DMM 3Dプリンティングサービスを利用して作ってみた!
色彩、素材、形など、お手持ちの3Dプリンターでは出力が難しいデザインの場合、外部の3Dプリンティングサービスを利用し、専門家に作成を依頼するのがおすすめです。
今回、利用したのは、「DMM.make」の3Dプリンティングサービス。
こちらの個人向けのサービスを利用し、ちょっと複雑な色や形のキートップを作ってみます。
まずは、全体の作業の流れから見ていきます。
DMM.makeへ依頼するときの手順
HHKB Studioの3Dキートップデータ(種類別:OBJ形式)をダウンロードした後、以下の手順でDMM.makeへキートップの作成を依頼しました。
- 利用登録、および3Dデータの作成ルールの確認
- 出力用データの作成
- 作成した出力用データをアップロード
- 発注処理(3Dプリント依頼)
では、それぞれの手順について、詳しく見ていきましょう。
利用登録、および3Dデータの作成ルールの確認
3Dプリンティングサービスをご利用になるには、最初にDMM無料会員登録および3Dプリント利用登録が必要です。
以下のページをご確認いただき、登録を行ってください。
https://make.dmm.com/print/howtouse/
また、利用者登録後は、3Dデータの作成ルールなど、サービスを利用するためのルールを必ずご確認ください。
出力用データの作成
今回は、画像ファイルをテクスチャーとしてキートップに張り付ける形で、キートップを作ってみます。
したがって、まずはテクスチャーとして利用する画像を準備します。
なお、今回テクスチャーとして使用した画像ファイルはこちらの画像です。
テクスチャー画像が準備できたら出力用データを作ります。
出力用データは、3Dモデル(OBJ形式)とテクスチャー画像、およびMTLファイルから構成されます。MTLファイルとは、OBJ形式の3Dモデルとテクスチャー画像の紐づけや、マテリアル情報が定義されたファイルです。
出力用データは、いろいろな方法で作ることができますが、今回は、DMM.makeの動画を参考に作成しました。
とても分かりやすく作成方法が解説されていますので、こちらを参考に作ってみましょう。
作成した出力用データをアップロード
出力用データを作成した後は、DMMのサイトにそのファイルをアップロードします。アップロードしたデータは、実際に造形可能かどうかチェックが行われます。
データのチェックが終わると、結果がメールで届きます。
造形OKであれば、素材ごとの見積もりもそのメールで確認できるので、どの素材で造形するか決めておきましょう。
発注処理(3Dプリント依頼)する
アップロードした出力用データが造形OKとなったら、発注処理(3Dプリント依頼)を行います。
発注処理は、DMM.makeの「マイページ」から行えます。
出力する3Dデータの「注文に進む」をクリックし、次のページで素材を選択して「注文する」をクリックすると、バスケットに商品が入ります。バスケットに表示されている注文情報(造形するもの、素材、個数、価格など)に問題がなければ、そのまま支払いや発送先などの情報を入力して発注処理は完了。
今回は、キートップ1個あたり約2,000円~3,000円で注文できました。
後は、依頼したキートップが届くのを待つだけ。
とても簡単です!
造形するものによりますが、発注から納品までは約2~3週間とのこと。
制作状況は、メールでこまめに連絡がありました。安心ですね。
さて、どんな仕上がりになるでしょうか?
届くのがとても楽しみですね。
DMMから依頼したキートップが届きました!(開封の儀)
DMMからついにキートップが届きました!!!
発注から到着までおおよそ2週間ほどでした。
さっそく、開封して確認してみます。
ちょっとドキドキしますねえ。
使用した素材ごとに分けられて梱包されているようです。
では、実際にHHKB Studioにセットして、タイピングしてみます。
まずは、テクスチャーを貼り付けたタイプのキートップ。
きちんとセットできました。
実際にタイピングしてみましたが、特に問題はなく、違和感もないです。テクスチャー画像がとても綺麗にプリントされていて、ちょっと感動です!
いろいろな画像でプリントできそうで、とてもワクワクします。
実は、今回、テクスチャー画像のキートップ以外に、透明タイプの素材でもキートップの作成をお願いしていました。
一緒にそちらも届いていたので、それもセットしてみます。
小さなパーツなので透明になるかドキドキでしたが、想像よりもきれいに仕上がりました!
「クリアアクリル|MJT|J750」(◇キー)は、実際にタイピングしてみましたが、打ち心地も問題なく違和感もありません。
でも、「クリアレジン|SLA」で作ったShiftキーは、見た目は綺麗ですがうまくセットできず、イマイチ安定しません…。素材によって細かな部分の精度が変わってくるそうで、この素材はキートップ裏側部分の造形に向いていなかったのかもしれません。
素材がいろいろ選べるので、いろいろ試してみたくなりますね。
失敗することもありますが、それはそれで楽しそうですね。
というわけで、今回、非常に楽しく、簡単に作ることができました。
DMM.makeさん、ご協力、ありがとうございました!!
自作キートップギャラリー
最後に、今回いろいろ作ってみたキートップをまとめてご紹介しておきます。
皆さん、金属素材のキートップってどうなのか興味がありますよね?
今回、アルミやステンレス素材で、キートップの作成を依頼してみました。
それがこちら。
上記は、アルミ(上)とステンレス(下)の素材で作ったキートップです。
ざらざらとした質感ですが、磨くと光沢がでるのかもしれません。
実際にタイピングしてみると、アルミ素材の方は特に違和感なく打てましたが、ステンレスはキーが重すぎるようです。特に、スペースキーは大きいので、タイピングした後、キーが上に戻ってこないぐらい重かったです。(笑)
さらに、複雑なデザインも作ってみたいということで、社内の3Dプリンターでは難しかった雪のギザギザを表現すべく、富士山デザインのキートップにも再度、挑戦してみました!
同じデザインで素材を変えて出力依頼してみたのですが、「フルカラーアクリル|MJT|3DUJ-553」(上)より、「フルカラーマルチマテリアル|MJT|J750」(下)のほうがきれいにできています。
その他、社内の3Dプリンターでも、こういったものを出力してみました!
ここまで読んでくださった皆さんは、「もしかしたらこんなキーできるかな?」と、頭にいろいろなアイディアが浮かんでいる頃かもしれませんね。
ぜひ、そのアイディアを形にしてみませんか?
一緒に、HHKB Studioキートップのカスタマイズで、楽しいキーボードLifeを満喫しましょう!
◆
今回は、公開中のHHKB Studioキートップ3Dデータを利用して、キートップを自作する方法についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
実は、3Dプリンターを利用するってちょっとハードルが高いな、と思っていたのですが、実際にやってみると意外とそうでもなく、とてもとても楽しかったです。
1つ作ると、「次はこうしてみよう!」とアイディアもどんどん湧いてきて、いつの間にか熱中していました。(笑)
近頃は、3Dプリンターが利用できる公共施設などもありますし、外部のサービスを利用することでも、手軽にキートップを自作できます。
皆様も、ぜひ、HHKB Studioのオリジナルキートップの作成に挑戦してみてくださいね!
\HHKB Studioキートップ3Dデータのダウンロードはこちらから!/
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- 本記事に掲載の情報(仕様、価格など)は、2024年7月時点のものです。