HHKB博士に聞く!
購入前に知っておきたいHHKBの基礎~配列編~
HHKBのちょっぴり深い基礎知識を3回にわたってお届けする、「購入前に知っておきたいHHKBの基礎」シリーズ。
2回目の今回は、配列に関する情報をお届けします!
- HHKB博士に聞く!購入前に知っておきたいHHKBの基礎~モデル比較編~
- HHKB博士に聞く!購入前に知っておきたいHHKBの基礎~配列編~(本記事)
- HHKB博士に聞く!購入前に知っておきたいHHKBの基礎~カラー編~
みなさんのHHKBに対する疑問が、解決できますように!
~登場人物~
田上博士
2001年から20年以上、企画・開発・プロモーション・サポートセンターとHHKBに携わり続けてきた、HHKBを知り尽くす男。
現在のMy HHKBはProfessional Type-S 英語配列。
「もうHHKB以外のキーボードでは入力したくない」というほど、HHKBを愛している。
ひよこライター
最近HHKBを知り始めたばかりのライター。
みなさんの役に立つ情報をお届けすべく猛勉強中。
田上博士!モデル比較編に引き続き、よろしくお願いします!
こちらこそ、よろしくお願いします!
HHKBを購入する前に一番注意いただきたいのが、配列です。
この配列こそ、HHKBが合うか、合わないかの分岐点になるので、購入をご検討されている方は、ぜひご一読ください!
キーボードの配列、実は大きく分けて2種類!
モデル比較編でもご紹介しましたが、キーボードの配列は大きく分けて2種類あります。
英語配列と、日本語配列でしたよね?
A~Zの位置は同じで、それ以外の記号の位置や、特殊キーが違うんですよね。
英語は入力した文字を変換することがないので、「変換」「無変換」などのキーはありません。HHKBはその分スペースキーを両サイドに広げて、タイプしやすいようにしています。
英語の場合は単語と単語の間に半角スペースが必要で、スペースキーの出番も多いですしね。
一方、日本語は変換が多く、かな文字入力という入力方法もあります。そのため、スペースキーの周りに「変換」「無変換」「カタカナひらがなローマ字」といったキーを置くことが規格で定められています。
それぞれの言語に合わせた配列・キーになっているのですね!
HHKBは、米国Sun MicrosystemsのType-3 Keyboardの配列をベースに作られていて、英語配列から販売をスタートしました。
Sun MicrosystemsのType-3 Keyboardは、1990年代のワークステーションのキーボードです。
当時は新たなワークステーションが出るたびキーボードの配列も微妙に変わっていたのですが、東京大学 名誉教授 和田英一先生の、「変わらないキーボードがほしい」という発想の転換があり、HHKBが誕生しました。
難しい?変態?HHKBのキー配列
“配列こそ、HHKBが合うか、合わないかの分岐点になる”とのことですが、どこが独特なんですか?
お手元のキーボードと比較してみてください。
- 最上段のキー(「F1」~「F12」など)がない
- 通常「Caps Lock」がある位置に「Control」がある
- 独立したカーソルキーがない(英語配列)
- 通常「半角/全角」がある位置に「Esc」がある(日本語配列)
といった違いがあります。
いつも使っているキーボードと結構違いますね…
使いこなせるか不安です…
ひと癖ありますが、どれも手を左右上下に大きく動かさなくて良いというメリットがあります。
HHKBだとどのように入力できるのか、ご紹介していきますね!
最上段のキー(「F1」~「F12」など)がない
HHKBには通常のキーボードの最上段にある「F1」~「F12」といったキーがありません。
これらのキーは「Fn」との組み合わせで入力できます。
「Fn」を押した状態で入力できるキーは、キーの側面に印字しています。
「F1」や「F2」は「Fn」+「1」、「Fn」+「2」などの組み合わせで、「Del」は「Fn」+「Back Space」で入力できるんですね!
少し手間が増えますが、指を無理に伸ばさなくても入力できるので、ホームポジションを崩さずにタイピングできるんです!
最初は戸惑いますが、早い人は2~3日で、遅くとも2週間たてば慣れてくることがほとんどです。
ただ、ファンクションキーを多用する方は注意が必要です。「やっぱり独立したキーがほしい」「キーが足りない…」ということがないよう、キーマップ変更ツールでのカスタマイズなど、購入前にシミュレーションいただくのがオススメです。
通常「Caps Lock」がある位置に「Control」がある
「Caps」が「Tab」の側面に印字されているのを見つけました!
これも、「Fn」とのコンビネーションで入力ということですね。
そうです!ただ、普段「Caps」って使いますか?
私は使わないです。使えていないだけかもしれません…。
間違えてCaps LockをONにしたままパスワードを入力して、ロックがかかったことならあります…。
HHKBでは、通常「Caps Lock」がある位置に「Control」を配置しています。
これにより、「Control」を使ったショートカットキーを入力するときに、手をハの字に曲げる必要がなくなるんです。
お手元のキーボードに手を置いて、シミュレーションしてみてください。
本当だ!左手小指の“無理してる感”がないです!!
そしてなぜか、「Control」と他のキーの距離が近くなった感じがします!
「Control」は横幅が少し長いのと、ホームポジションからの移動が少なくなるので、近くに感じるのかもしれません。
ちょっとした配列の違いが、快適なタイピングライフにつながるんですね!
独立したカーソルキーがない(英語配列)
英語配列には、独立したカーソルキーがありません。
これも「Fn」とのコンビネーションになるのですね!
あれ、意外とイケる…?
「Fn」とカーソルキーの距離感が丁度いいですね!
そうなんですよ!
これも手間は増えるのですが、ホームポジションをなるべく崩さずにタイピングできるというメリットがあります。
ちなみに、日本語配列でも、「Fn」を押した状態でカーソルキーを入力できます。
日本語配列には独立したカーソルキーもあるので、不安な方は、まずは日本語配列で慣れていただくという手もありますよ。
通常「半角/全角」がある位置に「Esc」がある(日本語配列)
日本語配列では、通常「半角/全角」がある位置に「Esc」があります。これはSun Type-3 Keyboardがベースにあるからです。
しかし、「Esc」も入力や処理の中止で何かと使うキーです。
お手元のキーボードでイメージしてみてください。入力しやすくなると思いませんか?
ちょっとまってください!
私は「半角/全角」を多用するのですが、どこに行っちゃったんですか?
日本語配列の場合、Windowsに適した「Windowsモード」でご使用いただくときは「」と刻印されているキーが「半角/全角」になります。
macOSに適した「Macモード」でご使用いただく場合は、スペースキーの左側が「英数」、右側が「かな」になります。
- Windowsモードのキーマップ
- Macモードのキーマップ
ちなみに英語配列の場合は、Windowsなら「Alt」+「`」(右上最上段)で、macOSなら「^」+「スペース」で、半角/全角を切り替えることができます。この操作はHHKB以外の英語配列キーボードでも同様です。
私は「半角/全角」を多用するので、この配列は困りそうです…
キーマップ変更ツールで「」(半角/全角)と「Esc」を入れ替えればいいのか!
キーマップ変更ツールを使えば、Windowsモードで使用するキーマップにも「英数」と「かな」を配置できます!
ご自身にピッタリの配列を模索するのも、HHKBの楽しみ方の1つですよ♪
キーマップ変更ツールについては、後ほどご紹介しますね。^^
◆
「配列が難しい」と耳にしていたので、どれほど難しいのか気になっていましたが、想像していたよりもハードルが低くて安心しました!
慣れた配列から入れば、早くて2~3日、長くても2週間ほどで慣れますよ!
配列さえ納得いただければ、決して大げさではない、“至高の世界”が待っています!
配列を決めるときは、OSごとの注意事項も要チェック!
英語配列か日本語配列かを決めるときは、以下にも注意してくださいね。
-
Windowsで使用する場合
Windowsでは、接続するキーボードが複数台あっても、OS側で設定できる配列は1種類になります。
ノートPCに付随のキーボードなど、ほかのキーボードとHHKBを併用したい場合は、ほかのキーボードに合わせた配列のHHKBをご購入いただくのがオススメです。 -
macOSで使用する場合
macOSでは、接続するキーボードごとに配列を設定できます。
ノートPCは日本語配列、HHKBは英語配列、といった具合に設定できるので、ご安心ください。HHKBをmacOSで使用するには、以下のいずれかの手順でMacモードにしてください。
- 一度HHKBの電源を切ってから、背面にあるDIPスイッチの1番をONにする
- 「Fn」+「Control」+「M」を押さえる
Macモードにすると、キーマップが以下のように割り当てられます。
- 英語配列の場合
- 日本語配列の場合
Windowsモードに戻すには、以下のいずれかの操作を行います。
- 一度HHKBの電源を切ってから、DIPスイッチの1番をOFFにする
- 「Fn」+「Control」+「W」を押さえる
ちなみに…
WindowsモードとMacモードはキーマップを切り替えるためのモードです。
WindowsとmacOSの両方でHHKBを使いたい方は、Windowsモードのキーマップに「英数」と「かな」を割り当てておけば、モードを切り替えなくても入力できますよ♪
-
iOS、iPadOSで使用する場合
HHKBに限った話ではないのですが、iOSまたはiPadOSでご使用いただく場合、キーボードは英語配列キーボードとして認識されます(一部を除きます)。
日本語配列のHHKBを接続しても、記号キーや特殊キーが刻印どおり入力できませんのでご注意ください。
使用する環境によって、少し制約があるんですね!
キーボードの配列を正しく認識してもらうには、OS側でも設定が必要です。
設定方法などは以下のページでご紹介していますので、購入後、刻印どおりに入力できない場合はご覧になってください。
それでも解決できないときは、お気軽にサポートセンターまでご連絡くださいね!^^
「キーマップ変更ツール」で好みの配列にカスタマイズ
モデル比較編でも少しご紹介しましたが、HHKBは、ユーザー様ご自身でキー配列をカスタマイズしていただけます。
お気に入りの配列を探すのも、HHKBの楽しみ方の1つです♪
HHKBはホームポジションを崩さずにタイピングできる合理的な配列となっていますが、配列をカスタマイズいただくことで、さらにあなた専用のHHKBになりますよ。^^
キーマップはモードごと(Windows/Mac)に登録可能です。
最後に、PFU社員のキーマップカスタマイズ例をご紹介します。
英語配列・日本語配列それぞれのカスタマイズ例を載せておきますので、ぜひ参考にしてみてください!
英語配列のカスタマイズ例
~田上博士~
- 「Fn」を押さない状態の配列
- 「Fn」を押した状態の配列
-
ポイント
- Windowsで使用するので、DIPスイッチの1番(※)をONにして、Windowsモードにしています。
- DIPスイッチの3番をONにして、「Delete」を「BS」にしています。
- 右側の「Command」をアプリケーションキーにしています。
- Windowsモードでも、Macモードのように音量調整したいため、「Vol_Dn」「Vol_Up」「Mute」を割り当てています。
- DIPスイッチの設定は配列によって異なります。詳しくは製品マニュアルをご確認ください。
日本語配列のカスタマイズ例
~Hさん~
- 「Fn」を押さない状態の配列のみカスタマイズ
-
ポイント
- DIPスイッチの2番をONにして、「Control」を「Caps」(英数)に、左下の「Fn」を「Control」にしています。
ノートPCのキー配列に慣れてしまっているので、似た配列にしています。 - 「F2」「F7」「F10」「PSc」「Del」は独立キーとして欲しかったので、使わないキーと入れ替えました。
- DIPスイッチの2番をONにして、「Control」を「Caps」(英数)に、左下の「Fn」を「Control」にしています。
~Mさん~
- 「Fn」を押さない状態の配列
- 「Fn」を押した状態の配列
-
ポイント
- 「Esc」と「」(半角/全角)を入れ替えています。
半角/全角を切り替えるために左上最上段のキーを押してしまうクセが抜けないので、入れ替えました。 - 「F4」「F5」「F7」「F10」「Del」は独立したキーとして欲しかったので、使わないキーと入れ替えました。
- 「Fn」+カーソルキーで、「Home」「End」「PgUp」「PgDn」となるようにしました。
ノートPCで多用していたお気に入りの配列だからです。
- 「Esc」と「」(半角/全角)を入れ替えています。
みなさんの配列、とっても面白いですね!
初心者の私でも真似しやすそうです♪
みなさん色々と工夫されていますね!
使うキー、使わないキーは人それぞれですので、ぜひHHKBをあなた専用にカスタマイズして、快適タイピングライフを楽しんでいただければ何よりです。^^
◆
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今回の記事では、HHKB独特の配列についてお伝えしました。
予想よりも簡単でしたか?難しそうに感じましたか?
キーマップのカスタマイズは、それぞれの個性が表れましたね。^^
みなさんのキーマップもぜひ、SNSなどを通じて拝見できたら嬉しいです♪
投稿の際は、ハッシュタグ『#HHKBキーマップ』をつけてください。^^
第3回の記事では、HHKBの色やお掃除方法についてご紹介していきます。
みなさんが充実したHHKBライフを送れますように!
それではまた、次の記事でお会いしましょう!!
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