JISキーボード(日本語配列キーボード)の基礎知識と入力効率アップの小技を解説

やっぱりコレ!JISキーボードの基礎知識

日本語の文字入力に使用されるキーボードには、大きく分けて日本語配列の「JISキーボード」と英語配列の「USキーボード」があります。

漢字変換をはじめとした日本語入力のしやすさから、日本ではJISキーボードのニーズが高いですが、USキーボードと比べてどのような違いがあるのでしょうか。

本記事では、日本語配列と英語配列の違いやJISキーボードならではの独自キーとその役割、入力効率アップに役立つ小技もあわせてご紹介します。

JISキーボード(日本語配列キーボード)とは

JISキーボードとは日本語配列キーボードともよばれ、JIS規格に準拠して作られた日本語配列のキーボードです。

「JIS」とは日本産業規格を指します。規格がないと多様化・複雑化・無秩序化してしまうモノやコトについて、この「規格」を設けることで、互換性の確保や生産効率化などを実現しています。

JISキーボードはQWERTY配列(英字最上段の6文字が左からQWERTYの順 )を基本に、日本独自の”かな文字”、 記号、一部の特殊キーの配列が規格によって標準化されています。これにより、メーカーや製品が変わっても、ユーザーにとって一定の操作性を確保できています。

一方、英語圏で採用されている英語配列のキーボードは「USキーボード」や「ASCIIキーボード」ともよばれ、ANSIやISOといった規格に準拠し設計・製造されています(HHKBはANSI規格に準拠)。USキーボードはJISキーボードと比較すると、一部のキー配列やキーの数が異なります。

日本語配列と英語配列の違い

上:HHKB 日本語配列、下:HHKB 英語配列
上:HHKB 日本語配列
下:HHKB 英語配列

日本語配列のJISキーボードと英語配列のUSキーボードにはどういった違いがあるのでしょうか。

キー刻印の違い

JISキーボードにはアルファベットや記号のほかに”かな”が刻印されたキーがあるのに対し、USキーボードには”かな”は刻印されていません。

たとえば、JISキーボードには「A ち」、「B こ」、「C そ」といった文字が刻印されていますが、USキーボードは「A」、「B」、「C」とシンプルです。

ただし、Windows用のキーボードなど一部のJISキーボードには”かな”の刻印がないモデルも存在します。

  • HHKBには“かな”の刻印はありません。

キーの数の違い

JISキーボードは大きく分けると106個のキーを搭載した「106キーボード」、Windowsキーとアプリケーションキーが追加された「109キーボード」、「Mac用キーボード」があります。

これに対し、USキーボードは101個のキーを搭載した「101キーボード」、「104キーボード」、「Mac用キーボード」があり、JISキーボードのほうがわずかにキーの数が多いという違いがあります。

ただし、付加機能が搭載された製品もあるためメーカーや製品によってもキーの数はわずかに異なります。

キーの種類とキー配列の違い

JISキーボードには「半角/全角」、「無変換」、「変換」、「カタカナひらがなローマ字」のキーが配置され、日本語での文字入力がしやすい仕様になっています。

一方、英語圏においては文字の変換という概念がないため、USキーボードではこれらのキーが存在しません。

ただし、USキーボードで日本語入力は不可ということではなく、たとえばWindowsの場合は半角/全角キーの代わりに「Alt」+「`」を、Macの場合は「Control」+「Space」(※)を押すことで入力切り替えが可能です。

このほかにも、JISキーボードの「Enter/Returnキー」はL字型なのに対しUSキーボードでは横長の形状であることや、「BackSpace」キーや「shift」キー、スペースキーはUSキーボードのほうが横に長いという違いもあります。
「@」や「¥」などの記号キーについても、JISキーボードとUSキーボードで位置が異なります。

  • OS X 10.10以前は「command」+「Space」です。

日本語配列独自のキーの役割

JISキーボードに配置されている独自キーの種類と、その役割を解説します。

半角/全角キー

「半角/全角」キーはIME(日本語入力システム)のオン・オフを切り替えるために使用されるキーです。

JISキーボードの左上、「1」キーの左隣に配置されているケースが多く、「半角/全角」以外にも「漢字」とキーに刻印されている場合もあります。

無変換

「無変換」キーは、漢字には変換せず、かな・全角カナ・半角カナへ変換する際に使用されるキーです。

スペースキーでも全角カナや半角カナへの変換は可能ですが、漢字変換の候補も多く表示されるため選択に時間を要してしまいます。無変換キーを活用すれば漢字変換の候補は表示されず、カナ変換の効率をアップできます。

無変換キーはJISキーボードのスペースキーの左隣に配置されていることがほとんどです。

変換

「変換」キーは、入力済みの文字を再度別の漢字やカナに変換する際に使用されるキーです。

漢字への変換はスペースキーを用いることが多いですが、入力済みの文字を選択しスペースキーを押すと再変換はされず空白が入力されてしまいます。
そこで、対象の文字を選択した後に変換キーを押すことで、誤変換した文字を再変換し正しく入力できます。

変換キーはJISキーボードのスペースキーの右隣に配置されているケースが多いです。

カタカナひらがなローマ字

「カタカナひらがなローマ字」キーは、入力モードを切り替える際に使用されるキーです。

「Alt」キー+「カタカナひらがなローマ字」キーでかな入力へと切り替えができるほか、Shiftキーと同時に押すことで全角カタカナ入力モードにも切り替えが可能です。

PCの設定によっては切り替えが無効になっている場合もあるため、以下の手順で切り替えを有効化してから使用してください。

  1. タスクバーの「あ」または「A」を右クリックし、「設定」をクリック
  2. IME設定画面の「全般」をクリック
  3. 「ハードウェアキーボードでかな入力を使う」および「かな入力/ローマ字入力をAlt+カタカナひらがなローマ字キーで切り替える」をオン

キーボードでの入力効率を上げる小技

PC側での設定を変えることによりキーボードの入力効率を高められる場合もあります。作業効率化に役立つ小技をいくつかご紹介しましょう。

キーボードの反応速度を調整

連続した文字を入力するとき、あるいはBackSpaceキーで複数の文字を消去したいとき、キーボードの入力レスポンスが遅くイライラした経験はないでしょうか。

このような悩みを抱えている方は、キーボードの反応速度を変えることで作業効率化につながることもあります。

Windowsの場合、以下の方法で「表示までの待ち時間」、「表示の間隔」を短くすることにより、入力から表示までのレスポンスが速くなりストレスフリーなタイピングと入力効率アップが期待できるでしょう。

  1. 「スタート」横の検索ボックスで「コントロールパネル」と入力し「コントロールパネル」を選択
  2. 右上の「表示方法」で「大きいアイコン」を選択
  3. 「キーボード」→「速度」タブを選択
  4. 「表示までの待ち時間」、「表示の間隔」を調整

無変換キーを「半角/全角」と同じ機能にする設定

JISキーボードにおいて使用頻度の高い「半角/全角」キーを押す際、キーボードの左上にあるためホームポジションから指が離れることが多いものです。

その結果、入力を切り替えるたびにホームポジションに戻るための時間的なロスが発生し入力効率も下がってしまいます。

そこで、スペースキーの横に配置されている「無変換」キーを「半角/全角」キーとして割り当てることで、タイピングの入力効率アップが期待できるでしょう。

Windowsで無変換キーを「半角/全角」と同じ機能にする方法は以下の通りです。

  1. タスクバーに表示されている「あ」または「A」を右クリック
  2. 「設定」→「キーとタッチのカスタマイズ」
  3. 「キーの割り当て」をオン
  4. 無変換キーのプルダウンメニュー→「IME‐オン/オフ」を選択

さらに、キーマップ変更機能のあるキーボードを使用するとより柔軟に、自分好みのカスタマイズが可能です。

覚えておくと便利なキー操作

入力した文字の消去や修正、変換などの操作を行う際、以下のような応用的なキーボード操作を覚えておくと入力効率のアップにつながることもあります。

  • esc:入力確定(変換)前の文字列を一括消去
  • Ctrl+BackSpace:単語ごとに消去
  • Ctrl+Shift+←:単語を選択
  • Shift+Space:半角スペースの挿入
  • F6:選択した文字列をひらがなに変換
  • F7:選択した文字列を全角カタカナに変換
  • F8:選択した文字列を半角カタカナに変換
  • F9:選択した文字列を全角英数に変換
  • F10:選択した文字列を半角英数に変換

単語登録

PCには辞書機能が搭載されており、任意の文字を入力したときに特定の文字列に変換することができます。

特に使用頻度の高い単語をあらかじめ辞書に登録しておけば、すべての文字を入力・変換する必要がなくなり大幅に入力の手間を省けるでしょう。

単語登録の一例としては以下のようなものがあります。
「おつ」→お疲れ様です。
「おせ」→お世話になっております。
「よ」→よろしくお願いいたします。
「あ」→ありがとうございます。
「めーる」→xxxxx@xxxxx.com
「でんわ」→080-XXXX-XXXX
「じゅうしょ」→○○県○○市○○町
「ばんち」→○番地

ビジネスメールでやり取りすることの多い挨拶文はもちろんのこと、入力が面倒なメールアドレスや住所、電話番号なども単語登録しておくと便利です。
また、一回で変換が難しい特殊な名字や名前も辞書登録をしておくことでストレスなくスムーズな入力ができます。

Windowsの場合、辞書への単語登録は以下の手順で行います。

  1. タスクバーに表示されている「あ」または「A」を右クリック
  2. 「単語の登録」を選択
  3. 「単語」・「よみ」・「品詞」をそれぞれ入力→登録

使いやすいJISキーボード(日本語配列キーボード)を選ぶことも入力効率アップの基本

JISキーボードはJIS規格に沿って作られているため、基本的なキー配列は共通しています。

しかし、JISキーボードのなかにもさまざまなメーカーのものが存在し、製品によってわずかにキーの位置や大きさ、使い心地、本体サイズなどが異なります。
使いづらいと感じるキーボードではタイプミスも生じやすく、入力効率や生産性の低下を招くこともあるでしょう。

特に、日常的にキーボードへ触れることの多いプログラマーやSE、ライターなどにとっては、使いやすいキーボードに買い替えただけでストレスから解放されたりタイピングの速度がアップしたりすることがあります。

JISキーボードには数千円程度で購入できる安価なものから、数万円の高級キーボードまで幅広い製品が存在しますが、さまざまなキーボードに触れて使い心地を試してみることで最適な製品が見つかるはずです。

PFUでは「HHKB Studio」や「HHKB Professional HYBRID Type-S」などの製品をラインナップしています。いずれの製品も「キーマップ変更機能」を搭載しており、キーマップをご自身が使いやすいようにカスタマイズできます。

HHKB Studio

キーボード、マウス機能、ジェスチャーパッドを統合したAll-in-Oneモデルです。
本体の左右および下方の側面にあるジェスチャーパッドをなぞることで、画面のスクロールやボリューム操作などを直感的に行えます。

  • ジェスチャーパッドの機能はキーマップ変更ツールでカスタマイズできます。

HHKB Professional HYBRID Type-S

耐久性に優れた「静電容量無接点方式」を採用したモデルで、なめらかなキータッチを実現。静寂性にも優れたキー構造となっています。
カラーバリエーションは墨・白に加えて、鮮やかな純白の「雪」もラインアップ。シンプルでスタイリッシュな見た目にこだわる方のために、キーに文字が刻印されていない無刻印モデルも用意しています。

HHKBは購入前にレンタルしてお試しいただくことも可能なため、JISキーボードをお探しの際はぜひ候補のひとつとしてご検討ください。

今回ご紹介したように、JISキーボードには日本語入力に便利な「半角/全角キー」や「変換キー」、「無変換キー」などが充実しており、これらを活用することでスピーディーなタイピングが可能です。また、入力効率をアップさせるためのさまざまな小技もあるため、積極的に活用し日々の業務に役立てていきましょう。

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