キーボードにはどんな種類がある?それぞれの特徴と選び方のポイント

キーボードにはどんな種類がある?それぞれの特徴と選び方のポイント

キーボードはPCを操作するうえで欠かせないインターフェースのひとつであり、タイピングのスピードや正確性にも大きな影響を及ぼします。
家電量販店やECサイトではさまざまなキーボードが販売されていますが、外見を見ただけではどのような違いがあるのか分かりにくいものです。
そこで本記事では、キーボードの主な種類やそれぞれの特徴、自分に合ったキーボードを選ぶ際のポイントなどを詳しくご紹介します。

キーボードの種類と特徴

一口にキーボードといってもさまざまな種類があるため、用途や利用シーンに応じて選ぶことが大切です。
キーボード選びのポイントである、キー数と接続方法、配列、キースイッチ、キーキャップの種類に分けて解説します。

キー数

キーボードに搭載されているキーの数に応じて、60%キーボード、80%キーボード、100%(フルサイズ)キーボードがあります。
また、フルサイズではないものの、60%キーとテンキーが組み合わされたキーボードも存在します。
100%(フルサイズ)キーボードは、PageUp/PageDownキーやHome/Endキー、テンキーなどが独立して配置されていますが、本体サイズが大きく、広いスペースが必要となったり、持ち運びがしにくいデメリットもあります。
これに対し60%キーボードはキー数が少なくコンパクトなため、使用時は省スペースで、持ち運びもしやすく、ホームポジションも崩れにくいというメリットがあります。一方で、PageUp/PageDownなどは複数のキーを組み合わせて入力しなければならず、操作に慣れが必要となる場合があります。
なお、キー数については以下の記事でも詳しく解説しています。

接続方法

PCとの接続方法は、BluetoothやUSBレシーバーによる無線接続と、USBによる有線接続の2タイプに分けられます。
無線接続はケーブルがないため配線がすっきりしますが、バッテリー切れや電波が混線するなどのリスクもあります。
一方、USBによる有線接続はバッテリー切れや電波トラブルの心配はありませんが、ケーブルの取り回しが煩雑に感じることも多いでしょう。

配列

JIS規格に準拠して作られた日本語配列のキーボードをJISキーボード、英語配列のキーボードをUSキーボードとよび、キーの配列や一部のキーの大きさ、キーの形状に違いが見られます。
JISキーボードは国内向けPCの多くに採用されているため、使い慣れているユーザーも多いでしょう。
一方、USキーボードはキー配列が論理的で馴染みやすく、キーの刻印もシンプルでスタイリッシュな印象です。
なお、キーボードの配列の違いは以下の記事でも詳しく解説しています。

キースイッチ

キースイッチとは、キートップの下に配置されているスイッチです。
キーを押すとキースイッチが押し込まれ、電気回路を通してどのキーが押されているかが認識されて文字が入力される仕組みとなっています。
キースイッチはキーボードの打鍵感を左右する重要な要素であり、主に5つの種類に分けられます。

1.メンブレン

ラバードームと呼ばれるゴム製の部品で押し合わせることで動作するキースイッチがメンブレンです。
シート状の回路に各スイッチが配置されており、構造がシンプルで大量生産に向いているため安価なコストで製造できます。

メリット : 安価な製品が多い
静寂性に優れる
デメリット: キーを深く押し込む必要がある
故障時にはキーボード本体の交換が必要

2.パンタグラフ

主にノートPC等の薄型キーボードに採用されるキースイッチで、電車の屋根に搭載されているパンタグラフという集電装置の形状に似ていることが由来となっています。
基本構造はメンブレンと同様のため、比較的安価な製品が多くあります。

メリット : 安価な製品が多い
薄型のキーボードが作りやすい
デメリット: キーを深く押し込む必要がある
タイピング音が大きい
掃除がしにくい
故障時には本体の交換が必要となる場合がある

3.メカニカル

メンブレンのようにシート状の回路にスイッチが配置されているのではなく、一つ一つの独立した回路にスイッチが配置されているタイプをメカニカルとよびます。
滑らかな打鍵感が魅力であるほか、キースイッチが独立しているためひとつのキーが破損しても修理がしやすいメリットがあります。

メリット : 底までキーを押し込む必要がない
ホットスワップがサポートされていれば、多彩で様々なキースイッチの選択と交換が可能
(選択肢:リニア/タクタイル/クリッキー等の様々なキースイッチ)
デメリット: 高価な製品が多い

4.静電容量無接点

メンブレンやメカニカルのように金属接点を持たず、キーの押し込み具合を検出するキースイッチを静電容量無接点とよびます。
滑らかな打鍵感に加えて信頼性が高いため、データ入力やシステム開発などのエンジニアだけではなく、文筆家など多くの文字を打ち込むさまざまな方々に支持されています。

メリット : 耐久性が高い
打鍵感が滑らかで心地よい
デメリット: 高価な製品が多い

5.磁気検出

キーに磁石が付いており、押し込んだときに基板上の磁力を検出するキースイッチを磁気検出とよびます。
静電容量無接点と同様に金属接点を持たないため信頼性が高く、次世代の高性能キースイッチとしても注目されています。

メリット : 耐久性が高い
打鍵感が滑らかで心地よい
デメリット: 高価な製品が多い
製品のラインナップが少ない

なお、キースイッチの種類については以下の記事でも詳しく解説しています。

キーキャップ

キータッチの際に直接指が触れるキーキャップの品質もキーボードの打鍵感や静寂性、耐久性などに影響を与える重要な要素となります。

材質

セラミックスや金属で作られているものも登場してきましたが、キーキャップの材質として代表的なのがABS樹脂とPBT樹脂です。

  • ABS樹脂
    家電製品や文具、雑貨などの材料として用いられているのがABS樹脂です。
    製造コストが安価なため廉価版のキーボードに広く採用されていますが、耐摩耗性、耐熱性、耐油性は高くありません。
  • PBT樹脂
    ABS樹脂に比べて成形の難易度は高いものの、耐摩耗性、耐熱性、耐油性に優れています。
    一方、加工の難しさから製造コストは高めで、上位グレードのキーボードに多く採用されています。

印字方法

キーキャップの印字方法には、昇華印刷、レーザー印刷、シルク印刷、UV印刷、パッド印刷、レーザー彫刻、2色成型などがあります。
中でも、キーキャップの表面に特殊なインクを浸透させて印字する昇華印刷や、印字部分に異なる色のプラスチックを使用する2色成型は、文字が消えることがなく耐久性に優れています。

シルク印刷やパッド印刷は耐久性の面では劣るものの、デザインの自由度が高く製造コストも抑えられるというメリットがあります。

形状

キーの形状は主に以下の3種類に分けられます。

  • シリンドリカル(円筒状):表面が弓形に窪んでいるキー
  • スフェリカル(球面状):表面がすり鉢状に窪んでいるキー
  • フラット(平面状):表面がフラットで窪みがないキー

正確なキータッチを重視したい場合にはシリンドリカルやスフェリカルが、表面を撫でるようなソフトなキータッチをする場合にはフラットが適しているといわれています。

なお、キーキャップの違いについては以下の記事でも詳しく解説しています。

キーボード選びのポイント

キーボードの利用シーンや使い方によっても最適な製品選びのポイントは異なります。
どのような点に注意してキーボードを選べば良いのか、押さえておきたいポイントを解説しましょう。

静粛性

タイピング時のカチャカチャとした音が気になり、作業の邪魔になった経験はないでしょうか。
集中力を維持したり、周囲の迷惑にならないようにするためには、静粛性の高いキーボードを選ぶことが重要なポイントとなります。
メンブレンのキースイッチを採用しているキーボードは、ゴム製の部品で構成されているためタイピング音が静かな製品が多くあります。
また、静電容量無接点や磁気検出タイプのキーボードは、物理的な金属接点を持たないため静粛性に優れています。

耐久性

長時間タイピングを行うプログラマーやライターなど、キーボードに触れる機会が多い方は耐久性も重視しておきたいものです。
静電容量無接点や磁気検出のキーボードは、金属接点をもたないためキースイッチが破損しにくく、耐久性に優れている傾向があります。
また、長期間使用しているとキートップの印字が消えることも考えられるため、PBT樹脂への昇華印刷や2色成型といった、耐摩耗性の高い印字方法を採用しているかも重要なポイントといえるでしょう。

携帯性

出張や旅行先で仕事をしたり、テレワークのためにキーボードを持ち運ぶ機会が多い場合には、携帯性に優れた60%キーボードがおすすめです。
コンパクトなサイズ感のためノートPCの横幅にも収まる製品が多く、外付けキーボードをノートPCの上にセットして使用することもできます。

カスタマイズ性

作業効率や生産性アップを実現するためには、キーボードのカスタマイズ性にも着目してみましょう。
好みのデザインや形状のキートップに変更できたり、よく使う機能を任意のキーに割り当てられるキーボードも存在します。
たとえば、HHKBではキーマップ変更ツールを利用することでショートカットを任意のキーに割り当てることもできます。

キーボードは実際に触れて試してみることも重要

キーボードにはさまざまな種類がありますが、たとえば同じキースイッチであってもメーカーや製品によって打鍵感は異なります。
また、一見するとキー配列が特殊なキーボードであっても、たとえば「HHKB Professional HYBRID Type-S」や「HHKB Studio」のようにキーマップ変更機能によって使いやすくカスタマイズできる機種も存在します。

HHKB Professional HYBRID Type-S

HHKB Studio

そのため、本当に自分にとって使いやすいキーボードを選ぶためには、実際に触れて試してみることも重要なポイントといえるでしょう。
PFUでは全国26か所にタッチ&トライスポットを展開しており、普段お使いのPCに接続してキーボードの使い心地をお試しいただけます。

タッチ&トライスポット

また、タッチ&トライスポットへの来店が難しい方のためにレンタルサービスも展開中です。
レンタル期間は14泊15日間と十分な時間があるためじっくり検討できるほか、返却後にはHHKBを限定価格でご購入いただくこともできます。

HHKBレンタルサービス

どのような種類のキーボードがあるのかを正しく理解したうえで、実際に触れて使い心地を試しながら最適な一台を探してみましょう。

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